直管形LEDランプ2023年12月12日 11:05



 洗面台と台所の手元照明が一度期に駄目になった。両方とも10年ほど前の直管蛍光灯である。この機会にLEDに換えたいのだが、蛍光灯からLEDへの変更は照明器具本体を取り替えるか、安定器をバイパスさせる工事が必要だ、と以前何かで読んだ記憶がある。しかし、洗面台も台所も作り付けで器具本体を取り外すのは面倒だし、安定器のバイパス工事となればさらに厄介だ。

 蛍光灯ランプはまだ市中に流通しているものの、家電メーカーでの生産減少が続いている。すでに蛍光灯用の照明器具は製造中止になっている。今年の「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)」においては、一般照明用の蛍光ランプは2027年末までに製造および輸出入を禁止することが合意された。政府の「エネルギー基本計画」でもLEDなどの高効率照明について、2020年までにフロー(出荷)で100%、2030年までにストック(設置)で100%普及させることが目標となっている。

 望ましいのは、現行の照明器具本体そのまままでランプだけLEDへ交換することだ。改めて調べてみると、蛍光灯照明器具には「グロー式」「ラピッド式」「インバータ式」の3タイプがあり、点灯用のグローランプが付いているものであれば、工事不要で安定器を残したままLED化できるという。
 洗面台も台所も「グロー式」だった。ただし、従来型蛍光灯に換えてLEDを取り付けた場合、安定器が経年劣化によって機能を失うとLEDも点灯しなくなるというリスクがあるらしい。安定器の平均寿命は約10年といわれているが、完全に寿命が尽きるまで使うことにした。ということで直管型LEDランプを購入した。LEDは起動も早くチラツキもない。幸い今のところ支障なく点灯している

ネックスピーカー2023年10月03日 09:00



 邦画のセリフが聴きとれないことが多くなった。洋画は字幕があるからあまり不自由を感じないけど。音楽も再生装置を経由したものは個々の楽器が判別し辛い。小さな音は旋律を追うことが出来ない。音盤や放送、配信に向き合うのが億劫で、生演奏以外はほとんど聴かなくなってしまった。
 歳相応だから仕方ないものの不便といえば不便。ヘッドホーンやイヤフォンは外部の音が遮断され、耳に圧迫感があって長時間使用するのは難しい。で、ネックスピーカーを検討してみた。U字型をした首掛けスピーカーである。

 ネックスピーカーは、もともとSONYのアイデアだったと思う。いまでは家電、オーディオ専門、スピーカー専業、PC周辺機器メーカーが多くの製品をつくっている。
 もちろん高音質なものが望ましいが、重量や機能や装着感、そして肝心な価格を含めて判断しなければならない。結局、ネットでの評判や店舗での見聞を経て、PC周辺機器メーカーSANWA SUPPLYの400-SP090に決めた。

 重さは175gでネックスピーカーのなかでは中程度、装着してもあまり負担にならない。10時間ほどの連続再生が可能でバッテリーの容量もまずまず。モバイル用の充電器で給電しながら聴くこともできる。
 音質は低音がやや弱く音の迫力もそれほどでもないが、各音域ともクセがなく聴き疲れしない。人の声はよく聴きとれる。弱音での楽器の判別も容易になった。音漏れは当たり前にせよ耳元でスピーカーが鳴る仕組みだから音量を大きくしても知れている。
 防水仕様、低遅延コーディックを内蔵、マイクもついているからハンズフリー通話やテレワークにも対応している。もっともこれらの機能を活用することは殆どないが。
 YouTubeや録画した音楽番組の視聴が楽しくなった。邦画も躊躇なく観ることができる。今のところ大きな不満はなく快適である。

パソコン2022年04月02日 08:23



 愛用のラップトップが壊れた。画面が真っ白になり、操作できなくなった。
 どうやら本体は生きているようだが、ディスプレイが重体で、スタートボタンもマウスポインターも消えてしまうから、シャットダウンさえできない。仕方ないので電源ボタンを長押しして終了させる。再び電源を入れれば立ち上がるものの、しばらくすると画面がフェードアウトして白くなる。この繰り返しである。
 機械ものは叩くと直るという。たしかにフェードアウト中に叩くと元に戻ることがある。多分、本体からデイスプレイへの接続に故障があるのだろう。しかし、このままでは危なっかしくて、いつまでも放置しておくことはできない。
 現下の生活、新聞やTVは観ないし、音盤もほとんど聴かない。Webでニュースを読み、Prime Videoとnetflixで映画を観て、YouTubeとBlue Sky Labelで音楽を聴く。日常の時間の中心がこのラップトップだから不便極まりない。

 新しいパソコンを買うことにした。データを外付けのハードディスクに複写してから機種を選定した。過去使ってきたパソコンは最初だけディスクトップで、そのあとはずっとラップトップ、現在のメーカーはhpである。今度もhpの直販を利用した。
 機種はhpのエントリーシリーズである15s-eq2に決定。CPUはAMD Ryzen5、メモリは8GB、ストレージは512GBのSSD、OSはWindows11。光学ドライブは付属していない。まぁ、CDやDVDは埃を被っているぐらいだし、音も画もNetでほとんど用は足りるから問題はなかろう。
 現行およびその前の機種はPavilionシリーズだったから今回は格落ち、格安機で少し慎ましく。購入時には受注生産のため納期不明でちょっと不安だったが、一週間ほどで無事到着した。

 データを移行し、初期設定で2,3日忙しい思いをしたけど、ようやく支障ない状態になった。初めてのAMD Ryzenはなかなか強力、SSDのストレージも今更ながらに異次元、起動するにHDDで数分かかっていたのが僅か10数秒、モバイルより早い。マルチタスクも全くストレスない。updateも気がつかないうちに終わる。ディスプレイは15.6型IPS液晶で落ち着いた色調。付属スピーカーの音質も想定以上。今のところ快適である。

世界で一番美しい少年2022年02月03日 16:20



『世界で一番美しい少年』
原題:Varldens vackraste pojke
製作:2021年 スウェーデン
監督:クリスティーナ・リンドストロム
   クリスティアン・ペトリ
出演:ビョルン・アンドレセン


 昔々、ルキノ・ヴィスコンティの映画をすべて観よう、と思い立って、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『夏の嵐』『山猫』『異邦人』『地獄に堕ちた勇者ども』などのビデオを借りまくった。そのきっかけは『ベニスに死す』だった。その後も『ルートヴィヒ』『家族の肖像』『イノセント』を追いかけた。しかし、目標は成就しなかった。初期の作品の2,3本が見つからないまま、しばらくして熱意が失せた。
 今では『夏の嵐』と『愛の嵐』(監督:リリアーナ・カヴァーニ)の題名がごっちゃになり、『地獄に堕ちた勇者ども』と『愛の嵐』の内容が混濁して、わけが分からくなっている。耄碌だけが原因ではない。題名のほうは一字違い、内容のほうは同じナチス時代、ダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングが共通、混乱は致し方ないではないか。
 いずれにせよ当時は、ヴィスコンティの貴族的で耽美的で退廃的な作風に夢中になっていた。

 『ベニスに死す』は、トーマス・マンの同名小説(『ヴェニスに死す』岩波文庫)を映画化したもの。原作の主人公アッシェンバッハは作家であるが、映画では作曲家に変えている。モデルはグスタフ・マーラー、「交響曲第5番」のアダージェットがひっきりなしに流れ、「交響曲第3番」のアルト独唱も使われた。
 ヴィスコンティはオペラ演出家でも有名で、音楽の使い方は心憎いほど。『夏の嵐』ではブルックナーの「交響曲第7番」のアダージョが、「第8番」の第1楽章は『地獄に堕ちた勇者ども』だったか。『ルートヴィヒ』はワーグナーのパトロンであった王の話だから、ワーグナーの音楽は言わずもがな。

 ルキノ・ヴィスコンティは『ベニスに死す』の映画化にあたって、主人公の作曲家アッシェンバッハを虜にし破滅させる少年タジオ役を求め、ヨーロッパ中を探しまわっていた。そして、ヴィスコンティが言う「世界で一番美しい少年」を見つける。それがビョルン・アンドレセンであった。
 映画『世界で一番美しい少年』は、そのビョルンのドキュメンタリーである。
 ミニシアターには、ヴィスコンティもビョルン・アンドレセンも知らないような若い観客が何人かいた。「美しさ」は人を引き寄せる。

 少年タジオ役のオーディションの模様が映し出される。ヴィスコンティは絶対者として君臨している。映画の中のタジオは挑発するような目つきで観る者を狼狽えさせるが、オーディションでの、上半身裸でオドオドした、はにかんだ目のビョルンは痛々しい。
 ビョルンは婚外子だった。母親は彼が幼いころ自死した。父親は不明。母親が誰にも頑なに口を割らなかった。祖母に育てられる。個人撮影用の8㎜と思うが、母親や本人の幼児期の動画などが紹介される、半世紀前の電話での会話録音もある。
 15歳になってタジオ役で一躍世に出る。撮影後、ヴィスコンティはパリのゲイ・コミュニティへ彼を連れていく。少年に対する性的虐待である。祖母はさしずめステージママで、孫を搾取し続ける。ビョルンがヴィスコンティから見放されたあとは、彼を遠く日本で稼がせた。これも一種の虐待だろう。
 来日の際の熱狂的な歓迎フィルムが挿入される。TV出演や明治製菓のチョコレート「エクセル」のCM撮影、歌謡ソングのレコーディングなどに翻弄される。歌は日本語で、きれいな発音である。音楽がずっと好きだったという。耳がいいのだろう。
 その後のビョルンは、子供を授かるものの、幼い長男を亡くしてしまう。自堕落な生活が続き、精神を病む。破滅寸前まで行くが、踏みとどまる。2019年には『ミッドサマー』の老人役となって復活する。『ベニスに死す』の撮影現場と対比するように、『ミッドサマー』の撮影風景も記録されている。
 このドキュメンタリーのため、ビョルンはもう一度日本を訪れる。思い出の土地をめぐる。少年のときの来日は、祖母に強いられエージェントに食い物にされた辛い記憶ばかりであろうが、日本そのものを嫌いになってはいなかったようだ。漫画家・池田理代子や音楽プロデューサー・酒井政利などとの会話も挟まれる。

 「世界で一番美しい少年」という重荷を背負ったまま、年齢を重ねていくのは想像を遥かに越えている。ペトリ監督は「美を求める普遍的な気持ちや憧れを持ってはいても、そこには同時に破壊的な側面があることをつねに意識していなければならない」と語るが、その通りだろう。仮に、芸術のためだけであったとしても、彼を弄んだヴィスコンティは許されるのか。美しく生れて来たが故の不幸、と言うには過酷すぎる。
 エンドロールで、再び日本語で歌う歌謡ソングが流れる。衝撃を確かめるように映画は終わる。
 

 今日は節分。立春の前日、すなわち年越しの日、邪気払いの日でもある。恵方巻を食するは関西の風習だろうが、恵方巻を買ってきた。昨夜の豚汁に合わせれば立派な夕食が整う。ご馳走である。

春分の日 はじめてのLED照明2021年03月20日 19:08



 今まで住処にLED照明が一つもなかった。
 入居時に用意した蛍光灯照明が現役を務めているから。玄関とか風呂の電球は時々切れたものの、電球の値段が比較にならないほど安いので、LED電球を買うほどの勇気が湧かなかった。
 しかし、部屋のシーリングライトがどうにも暗くなってきた。時々チカチカもする。生来の引きこもりは、とうぜん屋内での滞在時間が異常に長い。夜の照明に欠陥があるのは極めてマズイ。そこで、はじめてLEDのシーリングライトを贖うことにした。

 もちろん最安値を探す。ただし、照明は必需品で長時間使うもの。Maid in China(Maid in PRC表示にも気をつける)など海外生産品は除外し、国内物から選ぶことにした。実質6畳間ながら明るいほうが良い。ワンランク大きい8畳用と定めた。
 候補はすぐに絞り込むことができた。ホタルクス(NEC)のLIFELED'S HLDZ08203、適用畳数:~8畳、 定格光束:4299lm、消費電力:35W、機能:防虫、調光(調色なし)。何より日本製の5年保証である。各電気店のネット価格を比較してノジマに決めた。

 見かけは小ぶりでシンプル。取付は極めて簡単、10分程度で完了した。昼光色で調光は100%,70%,50%,30%,10%の多段切り替え、普段は70%で固定する。顔色が少し青味かかるのが難点だが、文字はクッキリ見え、チラツキも全くない。常夜灯も5段階に増減可。リモコンを枕元に設置すると、ドア脇の主スイッチとリモコンとを使い分け、動線を短くすることができる。これでますます引きこもりに拍車がかかるだろう。

 今日は春分の日、昼と夜の長さがほぼ同じになる春のお彼岸。宮城県沖を震源とする震度5強の地震がまた発生、大きな被害がないことを祈りたい。