DVDドライブ ― 2025年05月06日 15:23
このごろのノート型PCにはDVDドライブが内蔵されていない。ストレージのSSD化が進みOSの起動や更新など目が覚めるほど高速で快適となっているが、本体を薄く軽量にしたいためかDVDドライブは非搭載が通常仕様である。
いまや映画であればprime videoやnetflixなどの配信サービス、音楽や動画はyoutubeで事足りる。データの保存・交換もクラウドを介せば可能だし、USBという手もある。たしかにDVDのレンタルやCDを再生することはほぼ無くなってしまった。故障が多いDVDドライブの必要性は小さくなった。
ところが稀に調べものをするとき昔のCDを聴いて確認したくなることがある。古いDVDを簡単に鑑賞できたら有難いと思うこともある。頻繁に使用しないことはもちろん承知の上で、やはり無いよりは有ったほうがいい。PCにおけるDiskへの書き込みは皆無としても音楽や映像の再生ができれば便利である。
ということで、外付けのDVDドライブを価格.comで検索してみた。3,4千円で販売されており、思ったより安価である。機種はBuffaloのDVSM-PLV8U2を選び、さっそく購入することにした。問題なく作動する。普段は箱に収まったままに違いないけど、いざというときには役に立ってくれるだろう。
ネックスピーカー ― 2023年10月03日 09:00
邦画のセリフが聴きとれないことが多くなった。洋画は字幕があるからあまり不自由を感じないけど。音楽も再生装置を経由したものは個々の楽器が判別し辛い。小さな音は旋律を追うことが出来ない。音盤や放送、配信に向き合うのが億劫で、生演奏以外はほとんど聴かなくなってしまった。
歳相応だから仕方ないものの不便といえば不便。ヘッドホーンやイヤフォンは外部の音が遮断され、耳に圧迫感があって長時間使用するのは難しい。で、ネックスピーカーを検討してみた。U字型をした首掛けスピーカーである。
ネックスピーカーは、もともとSONYのアイデアだったと思う。いまでは家電、オーディオ専門、スピーカー専業、PC周辺機器メーカーが多くの製品をつくっている。
もちろん高音質なものが望ましいが、重量や機能や装着感、そして肝心な価格を含めて判断しなければならない。結局、ネットでの評判や店舗での見聞を経て、PC周辺機器メーカーSANWA SUPPLYの400-SP090に決めた。
重さは175gでネックスピーカーのなかでは中程度、装着してもあまり負担にならない。10時間ほどの連続再生が可能でバッテリーの容量もまずまず。モバイル用の充電器で給電しながら聴くこともできる。
音質は低音がやや弱く音の迫力もそれほどでもないが、各音域ともクセがなく聴き疲れしない。人の声はよく聴きとれる。弱音での楽器の判別も容易になった。音漏れは当たり前にせよ耳元でスピーカーが鳴る仕組みだから音量を大きくしても知れている。
防水仕様、低遅延コーディックを内蔵、マイクもついているからハンズフリー通話やテレワークにも対応している。もっともこれらの機能を活用することは殆どないが。
YouTubeや録画した音楽番組の視聴が楽しくなった。邦画も躊躇なく観ることができる。今のところ大きな不満はなく快適である。
2023/8/31 上岡敏之×読響 ブルックナー「交響曲第8番」 ― 2023年09月01日 11:56
読売日本交響楽団 第664回名曲シリーズ
日時:2023年8月31日(木) 19:00開演
会場:サントリーホール
指揮:上岡 敏之
演目:ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調WAB108
ローター・ツァグロゼクが指揮するはずの演奏会だった。
最初から躓いていた。年のはじめ、出遅れてチケットを入手できなかった。その後、幾つかのチケット取次サービスを注視していたが確保できず、ほとんど諦めかけていた。ところが、公演2週間ほど前になって「関係者席などの調整を行い60枚ほどの追加発売を行う」というアナウンスが読響からあった。販売は8月22日の10時から。朝から待機した。必死である。
ツァグロゼクと読響は、2019年にブルックナーの「交響曲第7番」を聴いた。ツァグロゼクは昔から現代音楽への取り組みでいろいろと話題になっていて、名前だけは馴染みがあったけど、その演奏となると放送でも音盤でも真正面から聴いたことはなかった。しかし、このときのブルックナー「7番」は、ほかに比べようのない隔絶した演奏だった。
「7番」は、「5番」「8番」などに比べ前半楽章に対して後半楽章が弱い。アダージョまでが勝負で、あとは印象薄く流れてしまうことが多い。1,2楽章の名演はあっても、全体を通して満足することがなかなかできない。その所為もあるのだろう後々まで演奏の記憶が残らない。
ツァグロゼクは明らかに最終楽章にクライマックスを設計した。楽章を追うごとに熱量を増していった。特に全曲のコーダはいつもなら断ち切られたような中途半端さがつきまとうのだが、このときは違った。じわりじわりと盛り上げ、完全燃焼することができる曲だと知った。
2022年には「5番」を振る予定だったけど、コロナ禍で来日不能となり下野に代わった。今回の「8番」は何としてもツァグロゼクの指揮で聴きたかった。
さて、8月22日の追加発売日である。
読響のWeb販売は「チケットぴあ」のシステム。これが極めて使い辛い。ログインしたあとも座席指定をするためにパスワードの再入力と認証文字を入力しなければならない。それも会場全体を見渡すことが出来ず、エリアを指定し、さらには券種、枚数を選択する。
東響や都響、新日フィルなどは「AKASHIC」のシステムで、ログインしなくても会場全体の空席は確認できるし、一度ログインすれば決済までストレスなく一気通貫で終えることが出来る。えらい違いである。N響は最近「AKASHIC」から「チケットぴあ」に変更した。神奈川フィルやサントリホール、ミューザ川崎などのWeb販売も「ぴあ」である。面倒このうえない。
で、当日10時からこのいかれたシステムと15分ほど格闘した。「チケットぴあ」は、ブラウザによって挙動が異なるようだ。最初、普段愛用しているChromiumの再構築版でアクセスしたら各券種ともはじかれ上手くいかない。Chromeに切り替えても売切れと表示されるばかり。最後にダメもとでEdegにしたら正常に反応した。たんなる接続のタイミングかもしれない。
やれやれ、とにかくチケットを手に入れた。読響のHPには1時間足らずで「追加発売は予定枚数終了しました」と告知されたから、すごい人気のツァグロゼクのブルックナーである。
その苦労が…土壇場で大波乱。
追加販売の2日後、24日になって読響から「ツァグロゼクは、肺炎の診断を受け、医師からしばらくの間の療養が必要とされたため、急遽来日できなくなりました。代わりに、ドイツ在住の上岡敏之が緊急に一時帰国し、指揮します。―――変更によるキャンセル・払い戻しはできません」とのアナウンス。
おいおい、それはないだろう。上岡敏之は、もっとも苦手とする指揮者である。ショックで寝込むほど落ち込んだ。もちろんツァグロゼクの快復を祈っているし、頭では不可抗力であると分かってはいるものの、心情的には詐欺にひっかかったような気分である。
しかし、仕方ない。このブルックナーをできるだけ先入見なしで白紙の状態で聴いて、それでも納得できなければ、上岡はこれで最後にしよう、と気を取り直し出かけることにした。
結果は、やはり駄目だった。まったく駄目。
ブルックナーの音楽をこねくり回し、いじり倒してボロボロにしてしまった。極端な強弱――聴こえることのない弱音、無味乾燥な強音――、恣意的な緩急、パウゼの不自然さ。田舎芝居の厚化粧をした役者が舞台で見得をきっている風な作為とわざとらしさ。ブルックナーの音楽に奉仕するのではなく、自己顕示のためにブルックナーを材料にしているような不遜な空気を感じた。
言い過ぎたかもしれない。これが上岡流の、誠心誠意をもって演奏したブルックナーなのであれば、上岡とはたんに接点のないまま、すれ違うだけの存在ということなのだろう。吸う息、吐く息が一致しない。その息遣いについて行けない。以前のブルックナー「9番」もそうだった。ワーグナーの「序曲集」やマーラーの「2番」でも心が動くことがなかった。所詮縁のない人なのだ。
読響はブルックナーオケといってもいいほどの集団だ。「8番」だけとっても芸術劇場における最晩年のスクロヴァチェフスキ、ミューザでの井上道義など素晴らしい演奏を聴かせてくれた。今回もオケそのものに不満はない。音量がデカイだけで微妙なニュアンスに欠けるときがあるにしても、それぞれの楽器の音色が磨かれ進化している。音が与えてくれる情報量が増しているようにも感じる。
ただひたすら砂を噛むような思いで座っていたのは、ひとえに指揮者と聴き手との相性ゆえのこと、オケの責任ではない。この先二度と上岡敏之を聴くことはない。
リバーサルオーケストラ ― 2023年03月16日 17:30
日テレが放映した『リバーサルオーケストラ』全10話が終わった。
ここ十数年、まともにテレビを観ていないから、TVドラマは『坂の上の雲』以来かも知れない。いま、ニュースや天気予報はWebで間に合うし、安直なドラマのため決まった時間にテレビの前に座るなど苦行に等しい。PCの動画配信で好きな時間に旧作映画を楽しんだほうがよっぽど自由だ。テレビから遠ざかるのは無理ないだろう。
で、『リバーサルオーケストラ』もリアルタイム視聴したのではなくTVer経由だった。
TVerの宣伝文句より粗筋を抜き書きすると、“超地味な市役所職員・谷岡初音(門脇麦)、実は彼女は…元天才ヴァイオリニスト。表舞台から去り、穏やかに暮らしていたはずが、強引すぎる変人マエストロ・常盤朝陽(田中圭)に巻き込まれ、地元のポンコツ交響楽団(児玉交響楽団、略称=玉響)を一流オケに大改造。しかし、2人の前には、数々の障害と強敵が…「崖っぷちだけど、音楽が好き」、夢にしがみつき、懸命に頑張る愛すべきポンコツオケ。夢を追う生き方は、難しいけれど、面白い! スカッとして胸がアツくなる、一発逆転の音楽エンターテインメイント”となる。
『リバーサルオーケストラ』は、神奈川フィル事務局の音楽主幹である榊原徹さんが、ことあるごとに宣伝をしていたので、つい観賞する羽目に。
しょっぱな俳優さんたちを見て愕然、顔と名前が一致しない。平田満と原日出子、石野真子くらいしか分からない。主演の2人でさえ茫漠として、田中圭の顔は見覚えがあるが名前が出てこない。門脇麦の名前は聞き覚えているが顔は知らない。およそ30歳以上の俳優さんに関してはこの程度、坂東龍汰とか恒松祐里とか20代の俳優さんともなれば顔も名前も全く承知しない。これでは浦島太郎のようなものだ。まぁ、そのお陰で逆に新鮮だったのかも知れないけど。
TVドラマだからとうぜん戯画化されているし、細部がいろいろ気になったのは最初だけ、ドラマの中身が盛沢山で展開もスピーディー。そのうちハラハラドキドキ、笑いあり涙ありの物語に夢中になってしまった。
ドラマはSNSと連携し、劇中のオケである児玉交響楽団のTwitterアカウントが作られたり、instagramへ画像がupされる。YouTubeやTikTokでショート動画が発信され、架空の音楽雑誌に玉響の記事が掲載されるなど、お遊びも満載だった。
脚本は清水友佳子。音楽科出身ということもあり、音楽へのリスペクトがいたるところ顔をだす。各話ごとオケのメンバーに焦点をあて、気持ちよい物語を紡いでいく。
例えば、2話では若きフルート首席の庄司蒼(坂東龍汰)が、経済的困窮のせいで家業を継ぐか音楽を続けるかの板挟みになっている。4話ではヴィオラ首席の桃井みどり(濱田マリ)が家庭とオケとの両立に悩み、大学受験を控えた娘(凛美)との葛藤もある。6話ではチェロ首席の佐々木玲緒(瀧内公美)が、失恋に加え自らの才能に対する疑問からやる気をなくし意気消沈している。8話ではオーボエ首席の穂刈良明(平田満)が認知症である妻(宮崎美子)の介護のため退団を考えるほど追い込まれている。主人公である天才ヴァイオリニストの初音や才能ある指揮者の朝陽だけでなく、ポンコツオケの楽団員たち一人ひとりの音楽と生活が浮き彫りにされ、彼らの抱える難題や苦悩をオケのメンバーたちが力を合わせて解決し、手を差し伸べ乗り越えていく。
テーマはまさしく愛といっていいが、それは若い人たちの恋愛感情だけでなく、親子、姉妹、夫婦、オケ仲間の愛である。そして、何より音楽への愛が通奏低音のように全編を流れる。その音楽にまつわる物語が強い共感を呼ぶ。
ドラマを支える劇伴音楽の存在も大きい。音楽を担当したのは人気ピアニスト・清塚信也と啼鵬。ベートーヴェン、ブラームス、パガニーニ、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、ラヴェル、ラフマニノフなどの有名曲を、ピアノを含めた小編成でもって大胆にアレンジし、ポップ調で軽やかな音楽に変身させドラマを盛り上げる。
また、『リバーサルオーケストラ』は、題名通りオケの演奏シーンが多い。これには神奈川フィルが全面協力し、「アルルの女」「ウイリアム・テル」「威風堂々」「チャイコン」「運命」、そして、最終話の勝負曲「チャイ5」など、練習場や公民館、学校、コンサートホール、新設のシンフォニーホールにおいて迫力ある音楽を奏でる。まさに本物のオーケストラによる音が鳴り、架空のオケである児玉交響楽団の成長ぶりを説得力あるものにしている。
神奈川フィルの楽団員もちゃんと演技をしている。ティンパニの篠崎さんは玉響を早々に退団してしまうが、台詞も喋ってなかなかの存在感。ホルンの豊田さん、トランペットの林さん、トロンボーンの府川さん、クラリネットの斎藤さん、ファゴットの鈴木さんなど、やはり管楽器の首席は目立つ。でも、最も花形だったのはセカンド・オーボエの紺野菜実子さん。場面は玉響の練習風景、オーボエトップの穂刈が介護問題で不調を極め、朝陽の指示で紺野さんが代わりにトップを務める。「運命」のオーボエソロを何度も繰り返す。ドラマの場面転換で重要な役割を果たしていた。
神奈川フィルのドラマ出演については、長年、日テレの音楽番組の構成に携わっている新井鷗子さん(みなとみらいホールの館長)が、日テレから相談を持ち掛けられ、芸大時代の知人である神奈川フィルの榊原さんに頼み込んだのが切っ掛けだったようだ。
結局、新井さんは番組製作の音楽監督を担い、榊原さんは田中圭の指揮指導をし、1話では朝陽が来る前の指揮者役で出演、スタッフ側のオーケストラ監督としてもクレジットされることになった―――だから、あんなに『リバーサルオーケストラ』のことをアナウンスしていたわけだ。
面白いのは神奈川フィルの音楽監督である沼尻竜典で、オーケストラ監修として番組スタッフに加わっているが、本編へも引っ張り出され、最終話の審査員役で音楽評論家・沼倉次郎となって、新井さんと共に顔を出している。もう一人、同じ審査員役で名物コンマスの石田組長が沼尻監督と並んで登場していた。おぉ~、神奈川フィルハーモニー管弦楽団総出だ。
地方のポンコツオケ・児玉交響楽団が神奈川フィルの協力を得たことは、ドラマ成功の大きな要因の一つになったと思う。
神奈川フィルは名匠ハンス=マルティン・シュナイトが鍛えたオケであり、首都圏の他のオケと比べても技術や音楽に取り組む姿勢など見劣りしない。ひとつ違いがあるとすればローカリティを併せ持っているということだろう。定期演奏会の公演回数が少ない分、アウトリーチが多い。学校行事や県内巡回公演等々、地域における音楽の普及活動に積極的に取り組んでいる。公共スペースを使って演奏することもある。また、様々なジャンルの演奏家とのコラボレーションもたびたび。庶民的で“オラが町のオーケストラ”といった風である。
そういえば、2月には「リバーサルオーケストラ・スペシャルコンサート」と銘打って田中圭と門脇麦を招き演奏会を開催した。劇中において演奏された曲を披露し、会場のみなとみらいホールは盛況だったようだ。とにかく楽団のフットワークがとても軽い。
地方で育ち、地方オケの創成期を知る人間としては、神奈川フィルにはどことなく懐かしさを覚える。そのちょっぴり泥臭くてアットホームな雰囲気が、児玉交響楽団にぴったしで、これ以上ない絶妙の配役だったといえる。
TV放映は終わり、TVerでは1~3話と最終話が視聴できる。いつまで見逃し配信が可能かは不明。Huluは全10話見放題であり、2週間の無料視聴期間が設けられている。日テレの公式チャンネルではYouTube経由で各話を10分程度にまとめたダイジェスト版を提供している。
TVerとHulu、それに日テレの番組公式チャンネルのリンクを貼っておく。
https://tver.jp/series/sr84opbk2g
https://www.hulu.jp/reversal-orchestra
https://www.ntv.co.jp/reveorche/
「第九」の動画視聴 ― 2022年12月29日 11:00
今年は、年末の「第九」演奏会を全てパスしたので、ニコニコ動画のライブ配信を視聴することに。“カメラ40台の同時配信”というのが東響+ニコ動の謳い文句。好きなカメラアングルに切り替えることができたけど、結局はニコ動任せの演出に落ち着いた。
ノットの指揮は、いつものように熱く燃える演奏。速度や音量の伸び縮みが大きく、早足で揺らぎが際立つ。
視聴はパソコンからUSB接続でアンプを経由しスピーカーへ出力した。しかし、音響装置が貧しい。緩急はそれなりに追いかけることができるものの、強弱の再生が苦しい。まずもって会場の空気が伝わってこない。一番大事な臨場感に難がある。
動画が生演奏の代わりにはならないのは当たり前。動画は生演奏を聴いた後の覚書のように用いるもの。最後までもどかしさがついてまわったが、東響の熱演、好調な独唱陣、安定の東響コーラスなどは確認できた。
編成は思ったよりコンパクト。最近の「第九」の演奏は、10型とか12型の弦が一般的なようだ。第1ヴァイオリンのトップは小林壱成、隣に水谷晃、後ろにグレブ・ニキティンとコンマス3人が揃った。チェロトップには笹沼樹が座っていた。ほかにも何人か客演がいたようだ。この時期、各オケともメンバーのやりくりに際しては、相互扶助ということだろう。