水谷晃が都響のコンマスに就任2024年04月01日 09:14



 昨年3月に東京交響楽を辞めた水谷晃が、本4月1日付けで東京都交響楽団のコンサートマスターに就任する。1年前に退団した四方恭子の後任ということになろうか。都響のコンマスは、これで矢部達哉、山本友重との3名体制となる。

https://www.tmso.or.jp/j/news/28298/
 
 水谷晃はまだ30歳後半だから、このままOEKの客員コンマスや、奥様のヴァイオリン教室のお手伝いだけで終わるはずはないわけで、順当なポストに就くことになった。

 東響時代は刮目すべき10年だった。獅子奮迅の働きでもって都響に新風を吹き込んでくれるに違いない。4月はトップサイドに座り、コンマスのお披露目は5月30日だという。

2023/10/30 オスモ・ヴァンスカ×都響 シベリウス後期交響曲集2023年10月31日 11:08



東京都交響楽団 第985回定期演奏会Aシリーズ

日時:2023年10月30日(月) 19:00開演
場所:東京文化会館
指揮:オスモ・ヴァンスカ
演目:シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調op.82
   シベリウス:交響曲第6番 ニ短調op.104
   シベリウス:交響曲第7番 ハ長調op.105


 フィンランドのオスモ・ヴァンスカ、もう70歳である。来期、東響の定期にも登場するが、一足先に都響とシベリウスの後期交響曲集を披露。コロナ禍でキャンセルが続いていた都響とは初共演だという。
 ヴァンスカはもとクラリネット奏者、かのヨルマ・パヌラに指揮を学び、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝している。

 前半に「第5番」、20分の休憩後「第6番」と「第7番」。都響のコンマスは矢部達哉、ホルンのトップはシティフィルの谷あかね。
 ヴァンスカは非常に細かく指示を出している。音楽の細部は鮮やかだけど全体の形がどうにも上手くつかめない。最後まで流れに乗れなかった。
 「第5番」は都響の反応もぎこちなかったように思う。途中からだいぶ修正されて来たけど。「第6番」は好きな曲なのに何となく通り過ぎてしまった。「第7番」が一番しっくりと受け止めることができたようだ。
 
 残念なことに聴き手の体調が極めて悪かった。集中力を欠いたまま、ぼんやりと座っていた。今回は記録のみにしておく。
 ヴァンスカは、来期、東響との共演で再確認したい。

都響の来期プログラム2023年10月11日 16:04



 都響の2024年4月~2025年3月のラインナップが発表された。
 東京文化会館のAシリーズとサントリーホールのBシリーズが各8公演、東京芸術劇場のCシリーズが6公演である。他にプロムナードコンサート5公演と特別演奏会などが企画されている。

https://www.tmso.or.jp/j/news/26041/

 来期はブルックナーの生誕200年記念、交響曲の「第3番」「第4番」「第7番」「第9番」を大野和士、フルシャ、インバルが振る。ショスタコーヴィチも交響曲「第6番」「第8番」「第13番」を井上道義、大野和士、インバルが演奏する。都響初登場ではダニエル・ハーディングがマーラーの「交響曲第1番」を指揮するのが注目。

 各シリーズのなかではサントリー公演が指揮者、プログラム、会場とも魅力的で、定期会員へ復帰しようかと考慮中。夜間の公演は辛いし、演奏会通いが増えるのは悩ましいが、希望の座席が確保できれば、という条件付きにしておこう。

2023/2/19 トルトゥリエ×都響 「スペイン交響曲」と「幻想交響曲」2023年02月19日 19:19



東京都交響楽団 第968回定期演奏会Cシリーズ

日時:2023年2月19日(日) 14:00開演
場所:東京芸術劇場コンサートホール
指揮:ヤン・パスカル・トルトゥリエ
共演:ヴァイオリン/ベンジャミン・ベイルマン
演目:ラロ/ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ短調
      op.21 「スペイン交響曲」
   ベルリオーズ/幻想交響曲 op.14


 休日の昼下り、ポピュラ―な曲、というわけか、3階に少し空席があったけど、ほぼ満杯。
 指揮者のヤン・パスカル・トルトゥリエは、往年の名チェリスト、ポール・トルトゥリエの長男で、もう70歳も半ば。
 ソロはアメリカの若手ヴァイオリニスト、ベンジャミン・ベイルマン。使用楽器は日本音楽財団から貸与された1740年製のグァルネリ・デル・ジェス「イザイ」。名前の通り、過去、ウジェーヌ・イザイが所有し、その後アイザック・スターンが愛用していたという名器。

 ベイルマンのヴァイオリンは、艶のある音でよく歌っていた。「スペイン交響曲」3楽章の物憂げな間奏曲や、4楽章の哀愁をおびた甘美な緩徐楽章をじっくりと聴かせてくれた。ただ、ところどころオケが鳴りすぎて邪魔をしていたのが勿体ない。。
 アイザック・スターンの生は聴く機会をもたなかったが、彼が使用した楽器の音は確認できたことになる。
 なお、以下の日本音楽財団のHPからは、楽器貸与の実際を知ることができる。

 https://www.nmf.or.jp/

 トルトゥリエは、大柄な体躯を上下色違いのスーツで身を包み舞台にあがった。下は黒、上着はダークグレイとなかなかシックな装い。音楽は豪快で金管を盛大に鳴らす。タクトは持たず腕の振りが大きく精力的な指揮ぶり。
 休憩後の「幻想交響曲」。服装は粋だけど、音楽が粋とは限らない。テンポ設定や、休止の処理、楽想が転じるときの間合い、音量の推移などに違和感があった。迫力満点で豪壮ではあったが。
 この曲、夢中にさせてくれると、あっという間に終わってしまう。今日は演奏時間が長く感じた。オケの管楽器ソロや弦の合奏なども美しい瞬間があまりなかった。
 フルネが懐かしく思い出される。日曜日の残念な午後だった。

都響の来期プログラム2022年10月08日 13:54



 昨日、東京都交響楽団の2023年度(2023/4~2024/3)のプログラムが発表になった。

 https://www.tmso.or.jp/j/news/20105/

 東京文化会館、サントリーホール、東京芸術劇場のA、B、Cシリーズ各8公演のほか、サントリーのプロムナードコンサート5公演と、特別演奏会他の7公演である。

 音楽監督・大野和士はマーラーの「7番」、ターネジの「タイム・フライズ」、シューマンの「4番」などを、桂冠指揮者のエリアフ・インバルはショスタコーヴィッチの「9番」、マーラーの「10番」(補筆版)を振る。88歳のインバルは、この先、都響と3度目のマーラー全曲演奏に取り組むようだ。首席客演指揮者のアラン・ギルバートは「アルプス交響曲」や「第九」、終身名誉指揮者の小泉和裕はブルックナーの「2番」、プロコフィエフの「5番」などを指揮する。

 客演指揮者としては、山田和樹、尾高忠明、ヴァンスカ、ミンコフスキ、ゲッツェル、レネス、アクセルロッド、ヴィト、ジョン・アダムスなど。このなかではヴァンスカのシベリウス「5~7番」、ミンコフスキのブルックナー「5番」に注目。ジョン・アダムスの自作自演は話題になるだろう。