パシフィルの来期プログラム ― 2025年12月26日 10:30
とりあえずは一安心である。パシフィックフィルハーモニア東京の来シーズンのラインナップが発表されていた。
https://ppt.or.jp/information/%e3%80%90%e9%80%9f%e5%a0%b1%e3%80%912026-27%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%82%ba%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%8a%e3%83%83%e3%83%97%e7%99%ba%e8%a1%a8%ef%bc%81/
全8公演、うち半分は監督の飯森範親が振り、4回を松井慶太、鈴木秀美、園田隆一郎、角田鋼亮がそれぞれ指揮をする。オーソドックスなプログラムが並んでいる。松井慶太の公演は聴いてみたい。
夏に理事長の日野洋一が退任し吹浦忠正に交代した。その後、事務局長も代わり新体制がスタートしている。11月に楽団員の大量退団があったものの「双方合意をもって円満に解決した」とのアナウンスもされている。厳しい状況に変わりはないだろうが、少しずつでも改善され前進することを願うばかりだ。
パシフィックフィルハーモニア東京の騒動 ― 2025年12月11日 16:15
首都圏のオーケストラのうち、パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)だけが来シーズンのプログラムを発表していない。
HPを見に行くとそれどころではないようだ。この11月末で19人が退団した。楽団のニュースを遡ると、3月末には首席クラス5人が辞め、昨年の3月には16人が退団している。現在のメンバー表をみると団員は24人しかいない。クラリネットとホルン奏者は全くの不在である。これではフル・オーケストラとはいえない。チェンバー・オーケストラの規模でさえない。
閉鎖的なクラシック界隈のことだから、この話はオールドメディアやネットニュースにあまり取り上げられていない。仮に記事になったとしても一般の人からすれば、オケのひとつが傾こうと潰れようと関係ない、という意見になりそうでニュース価値はないのだろう。
パシフィックフィルハーモニア東京は東京ニューシティ管弦楽団が2022年に名称変更した楽団。前身のニューシティ管は指揮者の内藤彰が個人で作ったようなオケで、コロナ禍のダメージをうけて実業家の日野洋一に譲渡した。しかし、経営が変わっても混乱は解消されない。労働争議が起こり、楽団員の流出が続き、夏には理事長も事務局長も交代してしまった。
日本音楽家ユニオンからは「PPTよ、プロの楽団たれ 音楽家の人権を踏みにじり、音楽文化を破壊する運営に抗議する」といった以下のようなステートメントも出されている。
https://www.muj.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/5f9b8a6b7d7eb69353a68b573f30545f.pdf
パシフィックフィルハーモニア東京は飯森範親を音楽監督に迎えて再スタートし、一時は高木凜々子がコンマスとして在籍していた。正直、何がどうなっているのか詳細はわからないものの、危機的な状況であることは確か。存続が危ぶまれる事態ではないかと思う。
パシフィックフィルの来期プログラム ― 2024年12月11日 16:46
パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の2025/26シーズンラインナップが発表された。これでようやく東京・神奈川に本拠地を置くプロオケ10団体の来期プログラムが揃った。
https://ppt.or.jp/
PPTは年度末(2024年3月)に楽団員16名が一斉に退団するという異常事態を引き起こした。存立自体が危ぶまれるのではないかと心配していたが、定期演奏会6公演、名曲・特別演奏会2公演と回数を減らして次期プログラムが決まった。事情はよく分からないものの楽団内部に大きな困難を抱えているのだろう。
さて、2025/26シーズンであるが、音楽監督の飯森範親が3公演を受け持ち、フェルディナント・リースやサン=サーンスなどを振る。ほかには園田隆一郎、原田慶太楼、ユージン・ツィガーン、出口大地などが登壇する。演目としては飯森が最近よく取り上げているリースの「交響曲第3番」やツィガーンの「展覧会の絵」などが注目されそう。
パシフィルの来期プログラム ― 2023年11月17日 09:28
パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)が2024/4~2025/3期のプログラムを発表した。これで東京・神奈川のプロオーケストラのシーズンラインナップ―――シーズン開始は各楽団によって1、4、9月と異なる―――が出揃った。
https://ppt.or.jp/news/seasonlineup2024-25/
会場は芸術劇場、サントリー、オペラシティ、練馬文化センターと様々、特別演奏会を含めて全12回である。このうち、音楽監督の飯森範親が半数を指揮し、あとはリオ・クオクマン、園田隆一郎、デリック・イノウエ、鈴木秀美などが振る。
全般に地味なプログラムのなかにあって、日本初演となるフェルディナント・リース「交響曲第2番」や、ショスタコーヴィチ「交響曲第11番」、ヴェルディ「レクイエム」などが予定されている。
楽団名を改称し飯森範親が音楽監督に就任して3年目、あいかわらず知名度は低く集客に苦労しているが、さらなる飛躍ができるかどうか正念場である。
2023/11/1 汐澤安彦×PPT チャイコフスキ−「交響曲第4番」 ― 2023年11月02日 09:36
パシフィックフィルハーモニア東京
第2回名曲シリーズ
日時:2023年11月1日(水) 19:00開演
会場:東京芸術劇場コンサートホール
指揮:汐澤 安彦
演目:グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」
ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より
「ポロヴェツ人の踊り」
チャイコフスキー/交響曲第4番 ヘ短調 作品36
汐澤安彦は80歳半ば。先日、外山雄三が亡くなったから、現役の指揮者では最長老のひとりだろう。以前はプロオケを振っていたが、特定のポジションに就くことはなかったと思う。もっぱら東京音大で後進を育て、アマオケや大学オケ、吹奏楽団を指導してきた。首都圏のプロオケに登場するのは珍しい。
何年ぶりかで汐澤翁をみた。だいぶ身体が小さくなって背も丸くなった。足腰はしっかりしている。舞台への出入りも危なげない。前半は立ったまま指揮、指揮台での下半身の動きは少なくなった。後半は椅子が用意されていたものの座ったのは半分ほど。首を傾げ挨拶する癖や、前のめりで指揮するところは変わっていない。驚いたのは全曲暗譜、いくら自家薬籠中の曲だからといっても歳を考えたら信じられない。
あいかわらずリズム感が抜群、疾走感も半端じゃない。オケをよく鳴らしながら、ひとつひとつの楽器が埋もれないように聴かせる。たえず主旋律をはっきり浮かび上がらせるから筋書きが分かりやすい。といって内声部を疎かにしているわけではない。語り口が上手いのだろう。物語がサクサク進むように演奏時間が極めて短く感じる。
オールロシアプログラム、前半では「ダッタン人の踊り」―――最近では「ポロヴェツ人の踊り」というらしい―――が、そのキレとスピードとクライマックスの凄まじさに仰天した。後半のチャイコフスキー「交響曲第4番」は、苦手なチャイコフスキーにもかかわらず飽きることがなかった。どんどん引き込まれ、ある種の快感を味わった。むかし同じ汐澤翁で聴いた「悲愴」を思い出していた。
PPTのコンマスは塩貝みつる、トランペットのトップは東響の澤田真人がゲスト。
さて、一時、怪我で休養していた汐澤翁だが、先月はSIOフィル、今月はこのPPT、来週は明治学院大オケ、年末は上智大オケを振る。老いて益々盛ん、元気で何よりである。機会があればまた聴いてみたい。