DUNE/デューン 砂の惑星 PART22024年04月09日 16:27



『デューン 砂の惑星 PART2』
原題:Dune: Part Two
製作:2024年 アメリカ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ジョン・スペイツ
音楽:ハンス・ジマー
出演:ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、
   レベッカ・ファーガソン


 待望の『DUNE:PART2』が公開されてほぼ1カ月になる。全米での興行成績はいまだ順調のようだけど、日本ではもうひとつ客足が伸びない。すでに打ち切りとなってしまった1番館もある。はて…

 前作ではアトレイデス家が滅亡し、跡継ぎポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)は、母レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)とともに砂漠の先住民フレメンたちのもとで生き延びる。PART2では先住民フレメンたちと惑星支配を目論むハルコンネン家との戦闘のなかでポールが救世主として覚醒して行く。
 ポールの母や皇帝の娘イルーラン(フローレンス・ピュー)が所属する女性のみの神秘主義教団ベネ・ゲセリット―――教母役はPART1同様シャーロット・ランプリング、マーゴット・フェンリング役でレア・セドゥも―――の暗躍、アトレイデス家の仇敵ハルコンネン家の次期統領フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)の異常性、フレメンの女戦士チャニ(ゼンデイヤ)の恋情と動揺、などが物語に厚みを加える。
 2時間を経過してのクライマックスは、ポールとフェイド=ラウサとの決闘。だけど、最大の見どころは前作以上に救世主になるべくしてなるポールの変貌だろう。ティモシー・シャラメの演技が一段と冴えわたる。

 現実世界を反映したような資源を巡る抗争、先住民と略奪者との闘い、神話・宗教・政治、それに自然・機械・生態を壮大なスケールで画面に定着させたドゥニ・ヴィルヌーヴの手腕に脱帽する。それを補強するハンス・ジマーの音楽。重低音の響きをバックに、懐かしさと愛しさ、そして慈しみに満ちた調べが聴こえてくる。

 『DUNE』は『スター・ウォーズ』シリーズのような大衆性や派手さはないが、長編小説や叙事詩を読むに匹敵する質量がある。小説は短編、詩は短歌・俳句の世界の住民には、この類の映画は地味で難解で複雑だから苦労する。相応の疲れは覚悟しなければならない。

 ともあれPART1、PART2の成功をうけて第3部完結編の製作が決定した。今回チラリと姿をみせたアニヤ・テイラー=ジョイ(『マッドマックス』の若きフュリオサ)がポールの妹として出演するようだ。完結編では救世主ポールが予言する「緑の惑星」と彼の最期を見届けたい。

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