3月の旧作映画ベスト32024年03月30日 08:09



『ゴースト/ニューヨークの幻』 1990年
 映画として実によくできたストーリー、ありえない話なのだけど笑いながら泣きながら引き込まれていく。ファンタジー、サスペンス、ラブコメディなどの要素がてんこ盛り。主な登場人物は主人公の銀行員サム(パトリック・スウェイジ)、恋人の美術家モリー(デミ・ムーア)、サムの同僚のカール(トニー・ゴールドウィン)、インチキ霊媒師のオダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)。惜しいことにパトリック・スウェイジは若くして亡くなってしまった。デミ・ムーアはショートヘアが最高に似合って可愛いこと。ウーピー・ゴールドバーグは文句なしのはまり役で、アカデミー賞の助演女優賞を獲得した。バックに流れる「アンチェインド・メロディ」が切なく悲しい。

『ホリデイ』 2006年
 ロサンゼルスのアマンダ(キャメロン・ディアス)は離婚が決まり、ロンドン郊外に住むアイリス(ケイト・ウィンスレット)は失恋した。愛を失った2人はネットで意気投合し、気分一新のためお互いの家を交換して休暇を過ごすことに。そして、違う環境において気になる男性が現れる……監督は後に『マイ・インターン』を撮るナンシー・マイヤーズ。キャメロン・ディアスと相手を務めるジュード・ロウのシーンが多めで、その後の展開も予想通り、というかお決まりの出来すぎた筋書き。だけど、これが楽しめる。ラストは思いっきりハーピーエンドで元気をもらえる。ロマンチックコメディならではの運命の出会いと結末はこうでなくちゃ。洒落た会話に頷きながら両女優の表情を眺めるだけでも楽しい。

『女王陛下のお気に入り』 2019年
 『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス監督の作品。エマ・ストーンも出演している。18世紀イングランドの王室が舞台で、物語の背景は史実を踏まえたもの。女王アン(オリビア・コールマン)を補弼する権力者レディ・サラ(レイチェル・ワイズ)と、サラの従妹にあたるアビゲイル(エマ・ストーン)との女性同士の愛憎劇、女王アンの寵愛をめぐっての馬鹿し合い。ブラックユーモアたっぷり、苦笑いの連続。宮廷はまさに豪華絢爛、広角を多用した映像も斬新。音楽(挿入曲)が凝っていてヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハなどのバロック音楽が絶えず流れ、途中シューマンの「ピアノ五重奏曲」や現代音楽なども加わる。そしてエンディングではシューベルトの「ピアノソナタ21番」の第2楽章が聴こえてくる。映画とクラシック音楽の親和性を改めて感じる一本。

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