2026/9/26 佐渡裕×新日フィル ブルックナー「交響曲第5番」 ― 2026年09月26日 20:59



新日本フィルハーモニー交響楽団
  #672〈トリフォニーホール・シリーズ〉

日時:2026年9月26日(土) 14:00開演
会場:すみだトリフォニーホール
指揮:佐渡 裕
演目:ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調


 静寂のなかからコントラバスのピチカートが聴こえてくる。弦の弱奏を背景に金管の力強いコラールが鳴る。いかにもブルックナーらしい開始。推進力のある主部は対位法的にさまざまな主題が絡み合い、転調しつつドラマチックに進行する。
 アダージョは弦楽器のピチカートのうえをオーボエが哀感を伴って歌う。続く弦楽合奏の主題は崇高な祈りの音楽となる。各楽器が対話しつつ終盤には上行音型による高揚が待っている。
 スケルツォは活力あるリズムと野趣に満ちた主題が豪快な迫力を生む。ティンパニが強弱を強調し、荒ぶる金管の咆哮のなか弦楽器が舞曲を奏でる。
 フィナーレは対位法を駆使した音の大伽藍となる。クラリネットの跳躍による主題と金管で示されるコラール風の主題がさまざまに変転する。結末に向かってエネルギーが蓄積され、コーダでは冒頭の主題をはじめとする前3楽章のテーマが次々と回帰し、最後は全管弦楽が鳴り響き壮麗なクライマックスを築く。
 
 佐渡のブルックナーは以前「第4番」を東フィルと新日フィルで聴いた。今日の「第5番」を含め、じっくりとした運びで細部にこだわらないおおらかな演奏である。力任せにオーケストラを駆り立てることもなく、作品自体の美しさを引き出そうとする。
 ただし、この「第5番」は各楽章の表情や各主題の音色が平板で、情景や色合いの変化に乏しかった。全曲の演奏時間は80分強だったから、とりたてて遅いわけではないが、楽章内でのテンポの揺らぎや緩急がしっくりこないせいか、総じて単調で冗長に感じられた。音楽の訴えかける力がどうにも不足していた。心を鷲掴みされるような感覚もついぞ訪れなかった。
 「第4番」はそれなりに感銘を与えることが出来ても、「第5番」となるとそう簡単にはいかない。「第5番」は奈落の底から天上へと向かうほどの振幅がある。コラールが鳴りフーガが展開し循環形式のようにテーマが再現する。緻密な構築感に圧倒される。指揮者が試される難しい曲である。

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