2023/4/7 飯守泰次郎×シティフィル ブルックナー「交響曲第8番」2023年04月08日 09:07



東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 特別演奏会
       飯守泰次郎のブルックナー交響曲第8番

日時:2023年4月7日(金) 19:00開演
場所:サントリーホール
指揮:飯守 泰次郎
演目:ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調

 
 80歳を超えた飯守翁と手兵シティフィルとの待望のブルックナーである。7年ぶりだという。
 コンマスの戸澤さんが介添えして飯守翁が登場。足腰はだいぶ弱っているようで、指揮台には高椅子が用意されていた。
 それでも第1楽章は立って指揮、下半身は直立不動で上半身の動きも余程小さくなった。昔のように足を踏み鳴らすほどの勢いはない。実際、過去には指揮台を踏み外してしまったこともあったけど、その心配はもちろんない。第2楽章以降は座ったままの指揮だった。

 指揮者は歳をとるとだんだんテンポが遅くなるのが普通だが、第1楽章と第2楽章は快速でいっそ若々しい。第3楽章は一転して極めてゆったりと、テンポの揺れも大きくなった。このAdagioのために1、2楽章の設計があったのかと邪推したほど。今回の演奏の白眉でもあった。目がかすみ時間の感覚が失われた。最終楽章はまた快活なスピードが戻って、全曲の演奏時間は80分くらいだった。
 総じて引き締まったすっきりとした演奏にちょっと驚いた。飯守翁の身体の具合は、足腰はともかくだいぶ快復して来ているのかも知れない。

 シティフィルは管の首席級が何人か退団や休団しているから万全とはいえず、多くの賛助もあった。しかし、オケの精度というか音の緻密さは向上している。常任指揮者である高関健の成果だろう。加えて、戸澤さんのリードが圧巻、相当な負担だったと思う。
 飯守翁とシティフィルの関係は25年に及ぶ。桂冠名誉指揮者の意図を最も理解している楽団の快演だった。

 終了後、ひと呼吸おいて猛烈なブラボーの嵐、半分以上の聴衆がスタンディングオベーション、こんな光景は久しぶりに見た。
 今月の24日には、同じコンビでブルックナー「交響曲第4番」の特別演奏会が開催される。楽しみだ。

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