フェスタサマーミューザKAWASAKI 20242024年03月26日 19:16



 今年の「サマーミューザ」のプログラムが発表になった。期間は7月21日から8月12日までの19公演、会場はミューザ(17公演)とテアトロ・ジーリオ・ショウワ(2公演)において開催される。

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/

 地方からは兵庫芸術文化センター管弦楽団と浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァルワールドドリーム・ウインドオーケストラが参加し、いつものように県内の2つの音大、洗足学園と昭和音大も出演する。

 興味を惹くのは、井上道義×新日フィルによるマーラー「夜の歌」、園田隆一郎×神奈川フィルの團伊玖磨とプッチーニ、原田慶太楼×東響の伊福部昭あたりだろうか。ざっとみて聴きたい公演が10ほどあるけど、ここから半分くらいまで絞り込んでいきたい。チケットの発売は4月の中旬から始まる。

日米親善よこすかスプリングフェスタ 20242024年03月23日 20:11



 たえず雨が降り、とても3月下旬とは思えない寒い中、抽選に当たったので、米軍基地において開催された「よこすかスプリングフェスタ」へ行ってきた。老若男女、小さな子供たちもたくさん繰り出し、ものすごい人出だった。
 基地内に入るまで関門が3カ所あり、最初が当選メールのチェック。次いで身分証明書の確認、免許証だけでは駄目で本籍記載書が必要。以前のように免許証に本籍記入があれば、こんな面倒はなしで済むのに。最後は手荷物と金属探知機による検査があった。
 艦船見学のため11時半ころ列に並び、立ち食いのピザを抱えながら延々3時間、15時過ぎにようやく指揮統制艦「ブルーリッジ」に着いて艦内を見学した。そのあと、お目当ての空母「ロナルド・レーガン」に向かったのだけど、見学時間はすでに終了とのこと、残念。疲労困憊、クタクタになって帰ってきた。

「新版画の沁みる風景――川瀬巴水から笠松紫浪まで」展2024年01月27日 15:04



 川崎駅直結の「川崎浮世絵ギャラリー」(タワー・リバーク3階)において、大正から昭和にかけての版画展が開かれている。版元・渡邊正三郎と新進気鋭の画家、彫師、摺師の協業で制作された「新版画」である。

 江戸時代に隆盛を誇った浮世絵は、明治の文明開化によって衰退の一途を辿っていた。欧米から銅版画や石版画の手法が入ってきたこと、写真や印刷の普及などが主な原因だろう。渡邊正三郎は我が国の高度な木版技術が失われるのを愁い「新版画運動」を提唱し、つぎつぎと新しい木版画を世に出していく。

 本展では渡邊正三郎が最初に声をかけた高橋松亭をはじめ、「新版画」を牽引した川瀬巴水から「新版画」最後の作家といわれる笠松紫浪まで、90点を超える作品が展示されている。画家としては20名弱、館内に掲示してある各画家の来歴を読むと鏑木清方の門下生が多いようだ。なかには訪日外国人であるチャールズ・ウイリアム・バーレット、エリザベス・キース、ノエル・ヌエットの3名も含まれている。

 絵の題材は全国各地の風景が中心で、風景のなかには人物が点描され、当時の風俗や暮らしを垣間見ることができる。東京や横浜の身近な土地も多く写され、今と昔を比べることになる。「新版画」というだけあって実験的で斬新な彫摺が試されており、遠近法や配色など西洋画の影響も濃厚だ。
 小原古邨の花鳥風月は色彩の階調が肉筆画と見紛うほど。洋画家の吉田博の淡い色合いは静寂な何ともいえない雰囲気を醸し出している。石渡江逸の生麦や子安、鶴見、横浜の所見は馴染みのある懐かしい場所だ。伊東深水は「箱根見晴台からの富士山」の1点のみだが、構図といい色調といい、これまた見事な作品だった。

 人出はかなり多く、ギャラリーは混みあっていた。月曜日が休館で、開館時間は11時から18時30分まで。本企画の開催は残り1週間、2月4日で終了する。

消防出初式2024年01月06日 13:26



 穏やかな天気のもと、散歩の途中の公園において消防出初式に出くわした。観客席が設置されていたので見学することに。ウーハン・コロナのせいで4年ぶりの本格的な出初式だという。広場を数百人がぐるっと囲んで見守る。

 優良消防団員や一般消防功労者の表彰のあと、防火防災協会長や県市会議員など来賓の挨拶があり第一部が終了。第二部は中学・高校のバトン部演技、消防総合演技、一斉放水と進み閉会した。消防総合演技は、車の正面衝突事故を想定し、救助活動と消火の模擬を披露。大勢の子供たちは、みな興味津々で通路の前に移動したり、パイプ椅子から身を乗り出して見ていた。十数本のホースを使った一斉放水はなかなかの迫力だ。

 出初式が終わり、明日は松の内もあける。今年は新年早々から大きな地震や事故が重なり、不穏な年明けとなってしまった。このさき災いが収束し平安な日々が続くことを祈るばかりである。

11月の旧作映画ベスト32023年11月30日 08:23



『暗殺のオペラ』 1970年
 公開時、映画館で観た。なんて気取った映画だろう、というのが第一印象。さっぱり良さが分からなかった。一画面一画面が絵のようで、それはそれで美しいと思ったけど、建物の構図や小道具のひとつひとつ、人物の所作などが計算されつくしていて、いかにもわざとらしい。そう感じたせいか物語もアリダ・ヴァリ以外の俳優もほとんど記憶に残っていない。何十年ぶりかで改めて視聴してみた。ムッソリーニ暗殺未遂事件にからむ父の死の真相をさぐる若者が、意外な事実を知るまでを描く。タルコフスキーに通じる映像美、クライマックスで演じられるオペラ「リゴレット」の音楽、謎にめいた町の人々、こんなに見所が多かったとは。20代だった脚本・監督ベルナルド・ベルトルッチの傑作。

『グランド・ブタペスト・ホテル』 2014年
 脚本・監督ウエス・アンダーソンの美学が横溢している。東ヨーロッパの仮想国家ズブロフカ共和国にある名門ホテルが舞台。幾つかの時代が入れ子構造で展開し、その時代ごとにスクリーンサイズが変わる。物語の中心は大戦前夜の1930年代、ホテルの上客だった老マダムが急死し、愛人だったホテルのコンシェルジュに容疑がかかる。働きはじめたばかりのベルボーイを巻き込んで二人の冒険が繰り広げられる。コメディ&ミステリー。ピンクのホテル、真っ赤なエレベーター、黄色い壁紙を背景に、短いカット、急なズーム、正面や真横のショットなど、劇画的な映像とテンポの良い早口のセリフが飛び交う。まるで大人の絵本、遊び心満載のおしゃれな映画。
※先週から渋谷Bunkamuraヒカリエホールで「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」が開催されている。12月28日まで。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_AWAwinter/

『秘密の森の、その向こう』 2022年
 時空をやすやすと飛び越えてしまうのが映画であるが、これはなんとまぁ大した仕掛けもなく容易に時間と空間を行き来する。尺は1時間13分の小品。しかし、観終わったあとの感触はゆうに2時間を超える。『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマが脚本・監督を手がけ、娘・母・祖母の3世代をつなぐ絆と癒しの物語を綴る。8歳のネリーは、亡くなった祖母にお別れが言えなかった。母マリオンも喪失感を抱えたままネリーとともに森に囲まれた実家の後片付けに来ている。その森でネリーは母と同じ名前の8歳のマリオンに出会う。その娘は母の過去の姿だった。双子のジョセフィーヌとガブリエル・サンスがネリーとマリオンを演じた。儚い夢をみたような不思議な浮遊感をもたらす。