モーツァルトの自筆譜をパリで発見! ― 2026年06月24日 16:33
昨年だったか一昨年だったか、モーツァルトの新曲がライプツィヒで見つかったというニュースがあった。10歳ころに書いた「弦楽三重奏のための小品」だった。今度はパリである。
20歳を過ぎたモーツァルトは就職活動でパリまで来ている。就職口がなかなか見つからないなか、フランスの外交官であったド・ギーヌ公爵の娘に作曲を教えていた。ギーヌ公は自身がフルートを吹き、娘はハープを演奏していたので、モーツァルトに「フルートとハープのための協奏曲」の作曲を依頼した。出来上がった作品は比類のない名曲となったが、ケチな公爵が協奏曲の代金をちゃんと支払ったかどうかは分からない。
今回発見された自筆譜は作曲のレッスン帳のなかにあった。和声など作曲技法の練習やフルートとハープのための7曲などが収められていた。レッスン帳はフランス革命時にギーヌ公爵の邸宅から没収された楽譜束と一緒にあり、最終的にフランス国立図書館に収蔵された。
発見したのはフランス国立図書館の音楽部門で学芸員を務めるフランソワ・ピエール・ゴワ氏で、彼は定年退職前に図書館に保管されている17世紀と18世紀の作者不明とされている資料を研究していて自筆譜を見つけた。
レッスン帳はモーツァルトの他の自筆作品との比較や、使用されていたフランス製の紙、そしてギーヌ公爵が依頼した「フルートとハープのための協奏曲」に押されていたものと同一のスタンプなどからモーツァルトが使ったものだと特定した。その後、モーツァルト専門家のローランス・デコベール氏によってその仮説が裏付けられ、さらには、ザルツブルクのモーツァルテウムの鑑定によって、1778年にモーツァルトがパリに滞在していた際に書かれたモーツァルトの自筆譜であると認定された。
新発見の「フルートとハープのための7つの小品」(仮称)は、この6月21日フランス国立図書館のホールにて、フランス国立管弦楽団の首席フルート奏者マティルド・カルデリーニとハープ奏者ニコラ・テュリエの二人の音楽家によって世界初演され、翌日には放送された。
https://moto-perpetuo.com/mozart-manuscript-discovery-bnf-paris/
この放送録音は公開されており聴いてみた。もともとハープとフルートが協演する曲は数少ないから、ハープ奏者やフルート奏者は大喜びだろう。今後は「フルートとハープのための協奏曲」のあとのアンコールなどで演奏されるかも知れない。
https://www.radiofrance.fr/francemusique/podcasts/relax/premiere-mondiale-ecoutez-un-inedit-de-mozart-decouvert-par-la-bnf-5404035