ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング ― 2025年07月13日 20:55
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』
原題:Mission:Impossible-The Final Reckoning
製作:2025年 アメリカ
監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
エリック・ジェンドレセン
音楽:マックス・アルジ、アルフィ・ゴッドフリー
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、
サイモン・ペッグ、ビング・レイムス
映画館へ足を運ぶのは半年ぶりくらい。最近はPrime Videoやnetflixでさえ観ない。大作・活劇ものは劇場で、文芸・名作ものはサブスクで、が大体の切り分けだけど、そもそも映画から遠ざかっている。とりたてて理由があるわけではない。歳のせいで持続力がなくなり堪え性が弱まっているためだろう。
そうはいっても2部作の後編にしてシリーズ完結編といわれる最新作を見逃すわけにはいかないし、子供たちからも誘われている。やっと重い腰を上げた。公開されて2カ月近くになるから上映館や上映時間が不自由になっている。でも休日のせいか劇場はほぼ満席だった。まだまだ人気である。
物語は人工知能“エンティティ”を巡る難攻不落のミッションを完遂することだが、いつものことながら筋なんかどうだっていい。てんこ盛りのアクションとトム・クルーズの疾走が目当てである。
オープニングクレジットまでの映像が分かりにくく長く感じるものの、くだんのラロ・シフリンのテーマ音楽とともにタイトルロールが流れはじめてからは息つく暇もない。嬉しいことに字幕はやはり戸田奈津子さんだった。
大きな見せ場は2つ。ひとつは前作冒頭で破壊されたロシア潜水艦にトム・クルーズ(イーサン)が潜入する場面、ところは氷に覆われた北極海である。『ローグ・ネイション』における潜水シーンを思い出す。トム・クルーズの蘇生にレベッカ・ファーガソンがいないのは寂しいけど、代わりは前編で初登場したヘイリー・アトウェル(グレース)が務めた。
もうひとつはカーチェイスならぬ複葉機と複葉機の追跡合戦。導入は複葉機に飛び乗ろうと走って追いかけるところから始まる。全力疾走をしても飛行機に敵うわけはない。還暦過ぎのトム・クルーズの走りこそImpossibleだ。続く操縦席での闘争とその後の勝利は、『フォールアウト』におけるヘリコプターでの空中戦と結末の核兵器の解除成功とが二重写しとなる。
アクションシーンは過去作のリスペクトに満ちている。そして、さらには登場人物たちが泣かせる。お馴染みのビング・レイムス(ルーサー)やサイモン・ペッグ(ベンジー)との友情は言うまでもなく、シリーズ1作目のCIA本部のセキュリティルームに宙吊で侵入する有名な場面、遺失物であるナイフを手にするドジなCIA職員ダンローが、30年後、素晴らしい年齢を重ね要の人物として復活するのだ。そのナイフを持って。ダンローを演じたのはロルフ・サクソン、役者の年月そのものがドラマの背景に見え隠れする。また『フォールアウト』でCIAの長官役だったアンジェラ・バセットが大統領となって胸アツの演技をみせてくれる。
とにかくシリーズにおけるさまざまなエピソードが点描され、一度だけでは完璧に理解することができない。半年後、サブスクでの配信を待ってゆっくりと見直したい。
この『ファイナル・レコニング』は完結編といわれているが、仮に次作となればトム・クルーズは大概65歳だろう。日本の言い方では立派な高齢者である。後期高齢者までにはプラス10年あるとはいえ、これほどのアクションはもう年齢の限界を越えている。画面のアップではさすがに歳を感じるところもある。それでも『トップガン』や『ジャック・リーチャー』の続編の噂があるくらいだから、このシリーズも題名通りImpossibleに挑み続けるのかも知れない。狂気の沙汰、おそるべき役者根性である。