2022/11/6 寺岡清高×フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 マーラーの「交響曲第3番」2022年11月06日 19:37



フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 
  第10回定期演奏会

日時:2022年11月6日(日) 14:00 開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:寺岡 清高
共演:メゾソプラノ/中島 郁子
   合唱/東京アカデミッシェカペレ
   児童合唱/すみだ少年少女合唱団
演目:マーラー/交響曲第3番 ニ短調


 寺岡清高は、以前マーラーとブルックナーを聴いている。強烈な刻印こそないが手堅く曲をまとめてくる印象がある。大阪交響楽団の常任指揮者を長く務め、「世紀末ウィーンの知られざる交響曲」と銘打って、コルンゴルトやツェムリンスキー、フランツ・シュミットなどを紹介していた。ハンス・ロットを一早く演奏したのも彼だった。もともとウィーンで勉強した人で、マーラーをライフワークにしている、と何かで読んだことがある。
 寺岡が大阪交響楽団の常任を離れる最後の定期演奏会でマーラーの「交響曲第3番」を指揮した。その「第3番」を、相手はアマオケであっても聴いてみようかと、先週と同様ミューザへ足を運んだ。

 フィルハーモニック・ソサィエティ・東京は、東京都内の学生オーケストラ出身者が中心となり、2016年に結成されたアマチュアオーケストラだという。結成後の歴史が浅いから当たり前だが、メンバーは20代、30代の若者で占められている。
 今日は演奏時間が100分を要する世界一長い交響曲にチャレンジ。編成も大きい。弦には分奏があったり独奏があって、激しい感情表出を演じる。木管は鳥や獣の現実音を正確な音程を避けながら吹かなければならない。金管でいえば難易度の高いソロが幾つか。第1楽章はトロンボーン、弱音のニュアンスを伝えるのが難しい。第3楽章はトランペット奏者のポストホルン、困難を極める長いソロ。第4楽章はホルンがアルト独唱を支える。声との均衡を保ち声を引き立てる役目を負わされる。
 トロンボーンは、恐れず果敢に攻めて上出来。ポストホルンは、今ではトランペットにミュートを装着するか、コルネットやフリューゲルホルンなどを用いるらしい。夢見るような天上の美しさにはほど遠いものの、大きく破綻することはなかった。4階席で吹奏した模様。アルト(メゾソプラノの中島さん)に張り付いたホルンは、少々苦しかった。曲冒頭のホルンの斉奏からはじまって、ずっと活躍してきたあとの声楽の伴奏である。よく健闘した。

 アマオケがマーラーの「交響曲第3番」に挑むとは、無謀といえば無謀、全員が若さをぶつけた懸命の演奏だった。

コメント

トラックバック