2022/11/23 音大フェスティバル ブラームスの交響曲第1番と第2番2022年11月23日 20:46



第13回音楽大学オーケストラ・フェスティバル
   昭和音大・洗足音大

日時:2022年11月23日(水) 15:00 開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演:昭和音楽大学(指揮/梅田俊明)
   洗足学園音楽大学(指揮/秋山和慶)
演目:ブラームス/交響曲第2番(昭和)
   ブラームス/交響曲第1番(洗足)


 もう11月下旬、首都圏の音楽大学が競演する恒例のオーケストラ・フェスティバルがやって来た。若い演奏家たちの今を知る楽しみな公演である。以前は4日間の連続券を買い求めていたが、ここ数年は指揮者とプログラムによって選択している。
 今日は神奈川のふたつの音大が演奏するブラームス。

 前半は梅田俊明指揮、昭和音大の「交響曲第2番」。
 梅田さんは、学生たちに明確な指示を与え、よく歌わせ、音楽の迫力もある。少し低目の指揮台のうえで、力みの抜けた練達の指揮ぶり。「2番」は明るいばかりでなく陰もあり、躁と鬱、華やかさと寂しさとが混在している。そのコントラストをはっきりと際立たせながら、流れにのせて爽やかに描いていく。その基礎を作っていたのは弦5部で、とくに第一ヴァイオリンが伸びやかないい音を出していた。オケ全体も「2番」に相応しく柔軟でしなやかで気持ちのいい演奏だった。

 後半は秋山和慶指揮、洗足学園の「交響曲第1番」。
 最初の一撃から秋山さんの気迫が尋常でなく、最後まで途切れることがなかった。80歳を越えてなお音楽への並々ならぬ情熱というべきか、作家ブラームスの交響曲への執念が乗り移ったというべきか。秋山さんにとってオケの連中は孫の世代である。彼らをまとめ鼓舞する姿は感動的ですらある。「1番」が激しくうねるように進む。秋山さんの名人芸ともいうべきタクトの下で、序奏の決然とした歩みも、クララへの呼びかけも、高揚感あふれる劇的なコーダも、孫たちが持てる力のすべてを出し切った。

 近ごろ、ブラームスの演奏に納得できないことが度々だった。久しぶりに良きブラームスを聴いた。大満足!