2022/8/27 高橋勇太×みなとみらい21交響楽団 家庭交響曲2022年08月27日 19:20



みなとみらい21交響楽団 第23回定期演奏会

日時:2022年8月27日(土) 14:00開演
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:高橋 勇太
演目:サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」
   R.シュトラウス/家庭交響曲


 「家庭交響曲」が演奏されるのは珍しい。ましてアマオケでは滅多にない。編成も大きく、管弦楽の跳躍フレーズも多用され難易度が高い。
 20世紀初頭、「英雄の生涯」と「サロメ」とに挟まれたベルリン時代、R.シュトラウスが40歳手前の絶頂期に作曲した。このあと彼の交響曲・交響詩としては「アルプス交響曲」が書かれるのみである。
 もともと、みなとみらい21交響楽団は、“アマオケではなかなか取り上げ難い名曲が数多く存在する。企画先行型のオケとして難曲に挑戦する”とHPで宣言しており、まさに「家庭交響曲」は演奏し難い曲のひとつだろう。

 先ずはサン=サーンスの「オルガン付き」。ふつうはメインプログラムだが、今日は前半に置かれた。
 ミューザのパイプオルガンを弾いたのは楽団員、たいしたものだ。第1楽章の後半、そのオルガンとヴァイオリンがテンポを落とし、神秘的に絡んでいく。このあたり指揮者の設計は賞賛もの。曲全体を通しても各楽器のバランスが注意深く維持され、緻密とまではいえないまでも十分楽しめた。

 休憩後、「家庭交響曲」。弦は14型なれどホルン8、トランペット4、クラリネット4、サクソフォン4など、プログラムノートによると総勢104人が舞台にのった。
 ここでも各パートが鮮明に浮かび上がり、見事にR.シュトラウスの響きを表現していた。曲には主人や妻の主題、そして子供や叔母、叔父が登場するらしいが、そんなことなど知らなくても音と一緒に画像が飛び出してくるよう。「オーケストラで描写できないことなど何一つない」と豪語していたR.シュトラウスの真骨頂である。もし仮に、彼の管弦楽法がなかったとするなら、いまの映画音楽は随分貧相なものになっていたに違いない。
 R.シュトラウスの響きは魅惑的と感じさせてくれるほど、みなとみらい21交響楽団は健闘した。高橋勇太は40代半ば、アマオケをこれだけバランス良く鳴らしたのだから、なかなか地力のある指揮者だと思う。

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