2022/8/7 エッティンガー×東フィル シェヘラザード ― 2022年08月07日 19:46
フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2022
東京フィルハーモニー交響楽団
日時:2022年8月7日(日) 15:00開演
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ダン・エッティンガー
共演:ヴァイオリン/服部 百音
演目:ロッシーニ/歌劇「セビリアの理髪師」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
リムスキー=コルサコフ/「シェヘラザード」
日曜日の午後、ポピュラーなプログラムということもあって、ミューザはほぼ満席。
「セビリアの理髪師」序曲からスタート。オープニングとして、こんなにふさわしい曲はないと思うが、軽快なワクワク感がない、どちらかというと重々しい。なのに、ロッシーニクレッシェンドはびっくりするほど急加速。あざといな、エッティンガーらしい。
メンデルスゾーンから1曲選ぶとするなら、この「ヴァイオリン協奏曲」だろう。もちろん「イタリア」や「スコットランド」あるいは「エリヤ」を挙げるひねくれ者もいるかも。いわゆるメン・コン、最初の旋律だけでもメンデルスゾーンの名は後世まで残るに違いない。
服部百音は、ソリストにしては線が細い。音程もいささか不安定。バックのオケは時として音量過多でソロとのバランスが悪い。アンサンブルもすこし粗い。エッティンガーは、プレトークでメン・コンを初めて振ると話していた。そのせいではないだろうけど、どうもしっくりこなかった。
前半、感心しなかったので、後半を心配したが、「シェヘラザード」はオケの精度も数段上がって見違えるよう。変態エッティンガーの面目躍如、こってりと濃厚。ときどきゲネラルパウゼを大きくとって、緩急自在。14型の弦でも音圧は申し分ない。コンマス三浦章宏の百戦錬磨のソロはもちろん、各奏者とも名人芸を披露してくれた。
この前の木曜日に、同じリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」を聴いたばかり。「シェヘラザード」もほぼ同時期に書かれた作品。御存じアラビアンナイト、説話集「千夜一夜物語」の語り手シェヘラザードがそのまま曲の題名となっている。「海とシンドバッドの船」「カランダール王子の物語」「若い王子と王女」「バグダッドの祭り、海、船は青銅の騎士のある岩で難破、終曲」の交響組曲、演奏時間約45分。
今日、エッティンガーの指揮で、“これは大曲だ”と知った。