あじさい寺 前編2022年06月15日 16:13



 季節はあじさい寺だから、今週の金曜日、いつもの北鎌倉の食事処を予約した。
 準備は万端なのだが、予定を眺めてみると、一日ではちょっと難しい。とくに、昼食時間をゆっくり確保するには厳しい計画となっている。
 で、急遽、二日に分けることにして、雨のなか鎌倉へ出かけた。

 長谷寺は今年のはじめ訪れているし、江ノ電・長谷駅の混雑ぶりを見て、一つ先の極楽寺駅で降りた。
 門前の紫陽花が出迎えてくれる極楽寺。
 開山は癩病者・貧者救済に努めた忍性。縁起によれば金堂、講堂、十三重塔などのほか約50の塔頭を備えた大伽藍だったという。現在、その面影はなく、合戦や火災、地震により茅葺屋根の山門と本堂を残すのみで、こじんまりとした境内である。その境内の紫陽花もひっそりと雨に打たれている。拝観は無料、京都の寺とは大違い。わずかばかりの志を納めて外に出た。

 極楽寺坂切通に沿った石段の、西結界から成就院に向かう。
 参道の紫陽花は、震災後200株以上を南三陸町へ寄贈し、今は30株ほどのようだ。あいにく由比ヶ浜の海はけぶって見えなかったが、雨に映えた紫陽花はさすが趣がある。紫陽花の跡地には宮城県の花である萩を植えたという。秋にはまた格別の見ものとなるだろう。山門の大きな鉢には様々な色彩の紫陽花が活けてあり、手水鉢にも紫陽花が浮かべてある。境内には御本尊の不動明王の分身が祀ってある。この歳ではもう縁ないが、恋愛成就のお寺だという。ここも拝観料をとらない。本堂のお不動様にも手を合わせてきた。

 切通を長谷駅の方へおりて行くと、成就院の境外仏である虚空蔵菩薩の堂があり、並んで鎌倉十井のひとつ星の井がある。昼でも井戸を覗き込むと星の影が見えたことから、星の井と名づけられ、僧行基はこの井戸から出てきた光り輝く石を虚空蔵菩薩の化身として虚空蔵堂を建てたという伝説がある。

 これらをゆっくり廻って約半日、そのまま鎌倉駅まで戻り、帰路についた。
 週末は北鎌倉で紫陽花と再会する。

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