2022/6/21 毛利文香&田原綾子×ハマのJACK(弦楽五重奏) モーツァルト2022年06月21日 19:29



横浜18区コンサート 第Ⅱ期 
 弦楽五重奏で聴くモーツァルト

日時:2022年6月21日(火) 15:00 開演
会場:かなっくホール
出演:ヴァイオリン/毛利 文香
   ヴィオラ/田原 綾子
   ハマのJACKメンバー(弦楽五重奏)
    ヴァイオリン/三又 治彦、倉冨 亮太
    ヴィオラ/村松 龍
    チェロ/海野 幹雄
    コントラバス/松井 理史
演目:モーツァルト/
    「魔笛」より 序曲
    「フィガロの結婚」より カヴァティーナ
      「失くしてしまって・・・あたし困ったわ!」
    「ドン・ジョヴァンニ」より
      「皆が酔いつぶれるまで」
    アヴェ・ヴェルム・コルプス
    きらきら星変奏曲
    ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
      変ホ長調 K.364(弦楽五重奏版)


 今日の横浜18区コンサートは、オール・モーツァルト・プログラム。
 もともとの曲は、編成の大きいオペラや声楽曲、協奏交響曲など。室内楽用に編曲して聴かせてくれた。編曲のほとんどは、ハマのJACKの三又さんが担当したようだ。三又さんは曲間に軽妙な解説を添えて、お喋りもなかなか楽しい。
 ハマのJACKは、横浜でクラシック音楽の普及活動を続けている団体。今回のメンバーは、N響団員のヴァイオリンとヴィオラに、フリーの海野さんと松井さんが加わって編成された弦楽五重奏団。なお、三又さんはハマのJACKの代表、海野さんは役員である。

 「魔笛」の序曲から軽快に開幕する。とりわけアップボーの弦の音が素晴らしい。「フィガロの結婚」のカヴァティーナは、コントラバスが正面に位置して主旋律を奏でる。その沈んだ音色からバルバリーナの困惑が伝わってくる。「皆が酔いつぶれるまで」は、チェロが正面に座ってドン・ジョバンニを演じる。ドン・ジョバンニの熱狂的な叫び声が聴こえてくるよう。「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、弦の小編成であっても天上の音楽。モーツァルトの最晩年、涙なしには聴くことができない。「きらきら星変奏曲」は、弦楽器のそれぞれが次々に主役を代わりながら、変奏曲の抜粋を披露してくれた。

 毛利さんと田原さんが登場してメインのK.364の「協奏交響曲」。
 「戴冠式ミサ」「ポストホルン」「ディヴェルティメント 第17番」など傑作が集中するモーツァルト23歳の作品。しぶしぶザルツブルグに戻ったあと、鬱々とした毎日を過ごしていたその時期、何ともいえぬ悲哀をたたえた幾つかの名曲が生れる。
 毛利さんのテンションは高く、音はまさしくソリストの強靭さとしなやかさを併せ持つ。田原さんのヴィオラはヴァイオリンをがっちり受け止め、深々と底光する音で絡み合う。二人とも横浜市の出身で、小中学生のころからの友人だという。いつもの管弦楽ではなく弦楽五重奏が相手だから、音楽の凝縮力が一段と際立つ。カデンツァでは、お互いの呼吸が絶妙、音楽に取り憑かれたように集中して行く。何度となく目頭が熱くなった。

 アンコールは、「ピアノ・ソナタ第11番」の第3楽章から「トルコ行進曲」。これも三又さんの巧みな編曲。大いに盛り上がって閉幕した。