2021/11/28 齊藤栄一×水響 伊福部・吉松・ショスタコーヴィチ2021年11月28日 20:32



水星交響楽団 第62回 定期演奏会

日時:2021年11月28日(日) 13:30 開演
会場:すみだトリフォニーホール
指揮:齊藤 栄一
演目:伊福部 昭/シンフォニア・タプカーラ
   吉松 隆(原曲キース・エマーソン)/タルカス
   ドミートリイ・ショスタコーヴィチ/交響曲第12番
                   「1917年」


 久しぶりのすみだトリフォニーホール。ここを本拠地とする新日フィルを聴くときも、サントリーホールを選んでしまうから、このホールとは随分ご無沙汰になっていた。今回はプログラムに魅かれて訪問することに。

 水星交響楽団は、40年ほど前に一橋大学管弦楽団の出身者を中心に結成されたアマチュアオーケストラだという。メンバー表をみると総勢約100名を数える。近頃のオケにしては珍しく男性が多い。若い人たちもかなり所属している。
 アマオケとしては一級、合奏能力が高いし、各パートのトップが皆うまい。新響と並ぶだろう。今回、3曲とも曲想は激しく変化し、リズムは不規則で、各パートのソロも多くて難易度が高いが、なかなか立派な演奏だった。

 伊福部の「シンフォニア・タプカーラ」はやはり名曲。日本の原風景というべき、いつ聴いても懐かしさを覚え、興奮を抑えきれない。こういった曲が後世まで残っていくと思うが、楽壇での扱いは正当といえるのだろうか。いまだに、例えば、今年1月に刊行された沼野雄司著『現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ』(中公新書)などを読んでも、伊福部昭やその弟子である芥川也寸志の名前は一切出てこない。無視されたままである。吉松隆については辛うじて一行か二行触れられているけど。
 その吉松隆。「タルカス」は、プログレッシヴ・ロックの傑作、キース・エマーソンの「タルカス」を吉松さんがフルオーケストラに編曲したもの。3管編成、8人の打楽器奏者が競演するという豪華版。正直、プログレッシヴ・ロックといえば、情けないことにピンク・フロイドの「原子心母」しか知らない。大昔、よく聴いていた。吉松さん、今からでも遅くないので「原子心母」を3管編成に編曲してくれないかしら。
 ショスタコーヴィチの「12番」は、「11番」とともに革命的精神を歌った曲。「11番」は血の日曜日を題材にして暗い。「12番」はレーニンを賛美した勇壮な曲。しかし、パロディという説もある。たしかに、打楽器奏者が「タルカス」のように8人も揃ってドンチャカ打ち鳴らすのだが、どうにも空疎というか、レーニンの偉業を讃えるにしては中身がない。ショスタコがどこか逡巡し、妥協し、やっつけで作曲したようなところがある。ショスタコの両義性は感じるものの、音楽の前衛性といった面でも物足りない。でも、演奏は前半2曲と同様、なかなかの見もの、聴きものだった。

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