2021/11/26 ヴェンツァーゴ×読響 モーツァルトとブルックナー ― 2021年11月27日 09:03
読売日本交響楽団 第647回 名曲シリーズ
日時:2021年11月26日(金) 19:00 開演
会場:サントリーホール
指揮:マリオ・ヴェンツァーゴ
共演:ピアノ/ゲルハルト・オピッツ
演目:モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
ブルックナー/交響曲第3番 ニ短調 WAB.103
「ワーグナー」
スイス生れのマリオ・ヴェンツァーゴのブルックナー。たしか昨年、同じ「3番」を振る予定が来日中止。今回が再挑戦。
ところが、今度は共演のエマニュエル・パユが来日できない。マルタン「フルートと管弦楽のためのバラード」とライネッケ「フルート協奏曲」を吹く予定だった。
このため、すでに11月に来日し1月まで日本に滞在しているピアニストのオピッツに代わった。曲目はモーツァルトの「ニ短調協奏曲」に変更。
オピッツは、このあと12月にもノット×東響のブラームス「ピアノ協奏曲2番」で代役を務める。日本ツアーの合間を縫って獅子奮迅の活躍である。
さて、ヴェンツァーゴである。幾つかのオケを使い分けてブルックナーの交響曲全集を録音している。ブルックナー演奏にはこだわりがありそうである。
しかし、そのブルックナー、これがまことによろしくない。開始して5分ほどで耐えられなくなった。無意味なアゴーギク、無神経なデュナーミク、暴力的といっていいほどの大音量、ブルックナー音楽の崩壊である。いじり過ぎ、こねくり回して駄目にしてしまった。こんな演奏でも拍手喝采、大絶賛する人はいるのだろう。受け止め方はそれぞれだといっても、一人取り残されたような気分である。
モーツァルトの協奏曲も実直なオピッツと、動き回ろうとするヴェンツァーゴとの間で齟齬が目立っていた。もっとも、モーツァルトはブルックナーより演奏の自由度が高いから、それなりに美しい部分や発見があって、それほど苦痛を感じることはなかったけど。
ヴェンツァーゴは、1988年にN響が招聘してから30年ぶりの来日という。まぁ、たびたび呼ぶのは厳しいだろう。まったくもって、酷く疲れた一夜だった。