2022/8/10 現田茂夫×日フィル 4つの最後の歌、ブラームス「交響曲第1番」2022年08月10日 19:34



フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2022
 日本フィルハーモニー交響楽団

日時:2022年8月10日(水) 15:00開演
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:現田 茂夫
共演:ソプラノ/森谷 真理
演目:J.S.バッハ/G線上のアリア
   R.シュトラウス/4つの最後の歌
   ブラームス/交響曲第1番


 川崎の夏祭りは明日まで。明日は参加しないから、今日が最終。平日の昼公演のせいかお客さんの入りは5割くらい。

 「G線上のアリア」で開始、弦5部のみ。14-12-10-8-7の編成、コンマスは田野倉雅秋、チェロには菊池知也。バロックというよりは19世紀ロマン派の音楽のように分厚く重量感のある音が広がる。

 弦のそれぞれが減らされ12型に、管楽器が加わり「4つの最後の歌」。①春、②九月、③眠りにつくとき、④夕映えの中で。詩は第4曲のみアイヒェンドルフ、第1~3曲はヘッセ。
 R.シュトラウスの最晩年にしてドイツ・オーストリア音楽に幕を引いた曲。作曲は20世紀の半ばになっていたが、19世紀の音楽を「メタモルフォーゼン」で弔い、「4つの最後の歌」で見送った。実際、R.シュトラウスが舞台を去ることによってドイツ・オーストリア音楽は終わった。
 4本のホルンが絶えず鳴り響き、魔術的なオーケストレーションを背景にして森谷真理が歌う。R.シュトラウスの乾いた諦念が露わになる。でも、どこか明るさに満ちている。それがよけい涙を誘う。

 休憩後、ブラームス「交響曲第1番」、弦は再び14型に増強。
 第1楽章、暗く重い足取りで、前に進むのを躊躇うよう。第2楽章以降も同じ。楽章ごとの色合いに変化がなく表情が単調。塗りこめられたような音で、聴き続けるには辛抱が必要だった。最終楽章になって、件のクララへのホルンの呼びかけと、フルートの音で一瞬景色がかわったが、すぐに元へ戻ってしまった。各楽器のバランスにも少々疑問、ミューザのフォルテの響きで苦痛を味わうのは過去に例がない。

 まぁ、こういった演奏会もたまにはある。R.シュトラウスの「4つの最後の歌」は改めて心に強く残った、善しとしよう。今年の夏祭りはこれで終わりである。

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