2021/7/31 高関健×シティフィル 我が祖国 ― 2021年07月31日 20:10
フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2021
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
日時:2021年7月31日(土)15:00
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:高関 健
演目:スメタナ/連作交響詩「我が祖国」
高関健は真摯なスコア・リーディングで知られているが、そのキッカケが「我が祖国」であると、今日のプログラムノートにある。
“中学生のときノイマン指揮チェコフィル来日公演を聴き大感激。その後チェコフィルの録音を何度も聴くうち、どれもスコアと違っている。凝り性なので出版譜や名指揮者たちの録音を比較して相違点を全部メモしてきた。この曲での違いの発見と調査の面白さが、自分の詳細なスコア研究にも繋がっている”と。これは初耳、知らなかった。
そして、“新日フィル、札響、シティフィルという継続的な関係を持つオケとの大事な初回には、この曲を提案してきた。フェスタという特別な場でシティフィル6年間の成果を示したい”と意気込みを語っている。同一オケで5年間は同じ曲を振らないという高関、今日はシティフィル就任披露公演の再現である。
スメタナの「我が祖国」は、改めて言うまでもなく2曲目「モルダウ(ヴァルタヴァ)」が突出して有名で演奏機会も多い。はて、全曲となると数えるほどしか聴いていない。10年以上前のエリシュカ×N響以来かもしれない。もっともエリシュカの「我が祖国」は、いまだに耳に残っている。
高関は眼鏡なし。譜面台の上にポケットスコアは置いてあったが閉じられたまま。一度も開かなかった。
高関は学究肌で生真面目な音楽作りの印象が強いが、こんなに熱く激しい演奏をするとは思わなかった。12型の小編成ながら重量感ある弦の響、金管の強奏、打楽器の打ち込みなど、もともともシティフィル自体が目一杯音を出すほうではあるけど、それにしても熱演を引き出した。
モルダウにも終曲ブラニークにも現れる高い城の動機は、実演で聴くとやはり感涙もので、何年かに1度くらいは「我が祖国」全曲を聴くのもいいものだ。
以下は、こぼれ話風。トランペット・トップの松木亜希さんのtweetを紹介。「我が祖国」で師匠との共演が実現したとのこと。
https://twitter.com/akimatsugi/status/1421267363928805376
オケにおける木管の女性トップは珍しくないが、最近は金管の首席にも女性が目立ってきている。繊細であって思いがけなく勇壮な音を聴くのもライブの楽しみのひとつ。