2022/10/15 ライスキン×神奈川フィル ドヴォルザークの「交響曲第8番」2022年10月15日 20:38



神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会第380回

日時:2022年10月15日(土) 14:00
場所:神奈川県民ホール
指揮:ダニエル・ライスキン
演目:スメタナ/連作交響詩「わが祖国」より
       「モルダウ」
   チャイコフスキー/幻想序曲
           「ロメオとジュリエット」
   ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88

 
 久しぶりの神奈川フィルの定期演奏会。この間、オケメンバーの室内楽は聴いたが、フル編成の演奏会に通うのは7月以来。
 今期の神奈川フィル定期における唯一の外国人指揮者、現在、スロヴァキア・フィルの首席であるライスキンが振った。
 長身、髭をたくわえ、ロマンスグレーの髪、まだ52歳だという。写真で見るよりスマートな身体つきで、動きに無駄がなく、明晰な指示を出す。もっとも分かりやすい棒が、良い指揮者の証拠であるとは限らないけど。

 最初の「モルダウ」、恣意的なタメをつくらず自然な流れを重視しているよう。弱音を丁寧に処理していく。はったりのない、穏やかで、しっとりとした手触り。「わが祖国」全曲を彼の指揮で聴いてみたくなった。
 後半のドヴォルザークの「交響曲第8番」は、さすが身振りも音の伸縮も大きくなったが、弱音を活かした音づくりは「モルダウ」と同様、とりわけ緩徐楽章の慈しむような感触が印象的だった。

 前半の「モルダウ」に続いて演奏された「ロメオとジュリエット」は、序曲とはいっても20分ほどかかる交響詩のような物語性のある音楽。チャイコフスキーの比較的初期の作品らしいが、若くてもチャイコはチャイコ、苦手な部類の音楽であることには変わらない。もっぱら、ライスキンの惚れ惚れとするような指揮ぶりを楽しんだ。ロシア人でありながら、といっては失礼か、威圧的でなく荒っぽさが微塵も感じられない。彼のような棒であれば、奏者は合わせやすいだろうし、演奏もしやすいだろうな、と想像しつつ。

 オケの弦編成は、3曲とも12-10-8-6-5、小ぶりの12型。コンマスは石田泰尚ではなく、ゲストの佐久間聡一。オーボエも読響の首席だった蠣崎耕三が座っていた。「モルダウ」も「ドボ8」もフルートの江川説子、寉岡茂樹が大活躍。木管・金管群はよく音が溶け合っていた。トランペットのトップは前半が三澤徹、後半が林辰則、林さんの喇叭は思い切りがよく爽快、「ドボ8」最終楽章の開始を気持ちよく決めた。

 「みなとみらいホール」の大規模改修がこの秋に終わる。「神奈川県民ホール」での神奈川フィル定期は今日が最終。来月からは「みなとみらいホール」へ戻る。

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