2022/3/26 高関健×シティフィル マーラー交響曲第9番2022年03月26日 18:33



東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第350回定期演奏会

日時:2022年3月26日(土) 14:00 開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
指揮:高関 健
演目:マーラー/交響曲第9番 二長調


 マーラーの「交響曲第9番」を直近で聴いたのは、もう7、8年も前になる。ノットが東響の監督になり、その4月の就任公演である。そして、直前の3月に都響のマーラー・チクルスの最終回があってインバルが振った。だからその年は「交響曲第9番」を続けて聴いたわけだ。
 インバルのマーラーは、打点の強い指揮に柔らかく応じる都響のレスポンスが見事だった。特に最終楽章の弦の壮絶な表現が息苦しくなるほど。といってインバルは、音楽にことさら感傷や悲嘆を求めはしない。恐怖や絶望を感じさせるのではなく、知らぬ間に暖かさに包まれるような音楽だった。ノットのマーラーも指揮者、オケともに手探り感はあったものの、緻密で繊細で「交響曲第9番」が希望に満ちた音楽だと確信させてくれるような演奏だった。

 高関さんの「交響曲第9番」は、いつものように一点一画もゆるがせにしないという音作り。楽章間の時間を十分に取ったせいもあるが全曲で80分をゆうに超えた。特に両端楽章は丁寧に音を積み重ね、緊張感を徐々に高めていく。高関さんは冷静沈着で感情過多にならないが、もともとオケのほうは熱量豊富だから、その塩梅がちょうどいい。それと近年のシティフィルの演奏は安定していて、安心して聴くことができる。とりわけ金管楽器のトップに女性陣が座ってから見違えるほど演奏水準が向上している。熱量と技量との相乗効果が頼もしい。

 久しぶりにマーラーの「交響曲第9番」を聴いて、やはり「大地の歌」を曳航してはいるものの、別れや諦念だけではない、どこか未来の明るさをみつめるような音楽だと改めて思う。
 今日は第350回定期演奏会という節目の公演、お客さんも良く入っていた。

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