イベリスとサントリナ ― 2025年02月19日 16:20
煉瓦積み風の小さなブロックプランターが4つある。
季節に応じてさまざまな花を植えてきたが、ここ数年はほとんど手入れをしていない。
今では「カーネーション」のみが生き残り、プランターのひとつを占領し、あとの3つは空地のまま雀の砂浴び場となっていた。
さすが冬は花が少なくて寂しい。
で、先日、近くの花屋を覗いたら「イベリス」を売っていたので衝動買いをした。
「イベリス」はスペインやポルトガルのあるイベリア半島で自生していることから名づけられた。1年草と多年草があって、これは「宿根イベリス」となっている。白い金平糖が集まったような花が愛らしい。
多年草とはいっても日本の夏を越すのは難しく過去に失敗している。もう一度挑戦するつもり。これでひとつのプランターが埋まった。
数日たって、同じ花屋を訪れると「サントリナ」という花名が目についた。
細かく枝分かれした銀白色のハーブのような佇まいで、名前からして「サフィニア」みたいにサントリーが企画した新品種か、と思って店の主人に聞いてみた。
主人曰く、デイジーの仲間でありながら別名は「コットンラベンダー」というハーブの一種、地中海沿岸原産の防虫効果がある低木で宿根草のように育てることができる。サントリーとは関係がない。姿形に特徴があり、初夏には黄色い花をつけるし、なんならドライハーブにもできる、云々。営業トークにほだされて購入した。
あとで調べてみると「サントリナ」という名の由来は、ラテン語の「sanctum(聖なる)」と「linum(亜麻)」が合わさって「Santolina」となったという。
これで、4つのブロックプランターが埋まった。
「イベリス」はすでに6つ7つの白い花が咲き可愛い。「サントリナ」は2つのプランターに分けて植えたが、こんもりとした全体の姿と、枝というか葉というか微妙な色合いが美しい。ただ、今のところハーブらしい匂いは感じられない。数年前からの「カーネーション」もナデシコ科のせいか地植えに耐え丈夫である。
もう少し花壇の手入れに力を入れなければならない。
冬の紅葉 ― 2024年12月16日 16:17
好い天気が続いている。近辺は12月になってからが紅葉の見頃である。
2株植えてある「ドウダンツツジ」が殊のほか見事に色づいた。4、5年経ってようやくここの土に馴染んだようだ。
昔、地方に住んでいたとき玉仕立てにした「ドウダンツツジ」を育てていたが、11月には綺麗に紅葉していた。土地や気象、気温の按配などで差がでるのだろう。
いまの2株は放任しっぱなしの自然樹形だけど、それほど見苦しくない。このまま生長を見守っていくつもりだ。
いつも旺盛な「五色南天」も上部が赤く染まってきた。これまで肥料を与えすぎたせいか新芽を勢いよく伸ばし、「五色南天」とは名ばかりで冬になってもほとんど全体が緑色のままだった。昨年から栄養過多を少し調整してみたら上手く色づいた。
「山法師」は相変わらず花と実の気配がないものの、だいぶしっかりしてきた。大きめの葉が紅くなるまえに落葉していたものが、今年は深紅の葉をたくさん残して目を楽しませてくれる。
ついでに、根元にある「オキザリス」は太陽に向かって小さな薄紅色の花をつけている。何の手入れもせず放置していても冬のあいだ絶え間なく貴重な花を咲かせる。
残念なのは「出猩々」を枯らしてしまったことだ。地方に居たときにも「モミジ」を駄目にしている。素人の荒っぽい剪定が原因だと思う。紅葉の代表選手を欠くのは惜しい。改めて挑戦してみようか、という気がないわけではないが、しばらくは大人しくしていたほうがよさそうだ。
同じ紅葉といっても色合いも姿形もそれぞれ。もう秋とはいえない冬のひととき、目の保養をさせてもらえるのは有難い。
庭木の花 ― 2024年05月15日 12:17
3月に沈丁花の花が咲き、姫空木の白い花が続き、4月には花海棠と満天星がほぼ同時に開花した。いま5月は芍薬の大きな花と匂蕃茉莉の中くらいの花、定家葛や西洋柊の小さな花々がきそっている。この先、梅雨に向けては梔子が盛りとなる。花の季節である。
冬の終わりに挿し木した20本の五色南天はすべて発芽した。多くの葉が伸びてたくましく育っている。素人の好い加減な仕事だったが成功率100%には驚いた。このまま順調に育ってくれれば、来年には地植えできそうだ。
せせらぎ緑道 ― 2024年01月10日 14:10
交通量の多いバス通りから一本入ったところに小川が流れている。バス通りに並行し東西に流れる本川と、途中から寺の横を北に向かう支川とに分かれている。小川といっても自然の川ではなくて、市街化に伴い汚染されてしまった水路を親水空間として再生したものらしい。
流れる水は下水処理場によって高度処理され、自然の小川を模した蛇行するせせらぎと、川に沿った遊歩道が整備されている。本川も支川も歩くとそれぞれ30分くらいかかる。川の両岸には戸建てやマンションなどが切れ目なく並んでいるから解放感はあまりない。そのかわりバス通りの騒音はほとんど気にならない。
小川は人工的に造られたものとはいえ、自然石や土管、樹木などの材料を巧みに使っている。水草が繁茂し、鯉や小魚、ザリガニなどの水生生物も生息している。さまざまな野鳥が寄り付き、街中では珍しいコサギを見かけることもある。水深は最大で30cmくらい、浅いところでは10cmもないように見える。整備されてからけっこう年数が経っているので自然の景色にも負けないくらいだ。
川沿いの遊歩道は狭いながら草花が植えられベンチもあって、散策するに気持ちがよい。老人や子供、ベビーカーのお母さんたちが行き交っている。「自転車は降りてください」と案内されているのに、たまに自転車に乗ったまま走り去る怪しからん輩がいることが残念だけど。
この「せせらぎ緑道」まで家からは距離があり気楽に利用できないが、通院のついでに散歩をしている。「鯉に餌をやるな!」との注意書きはないようだから、今度は餌持参で訪れてみようかと思っている。
シャクヤク ― 2023年05月10日 16:38
三年目にしてようやく芍薬(シャクヤク)の花が咲いた。直径十センチほどの花が一輪,あと開花しそうな蕾がふたつ。硬い蕾はすべて摘み取った。去年は咲かないまま枯れてしまったが、今年は上手くいった。
品種は「サラベルナール」、略して「サラベル」。ボリュームのある淡いピンクの八重咲で、甘い華やかな香りを放っている。19世紀末から20世紀初頭に活躍したフランスの大女優サラ・ベルナールにちなんで名づけられたという。
そうそう、女優サラ・ベルナールは、作家エドモンド・ロスタンとも親しかった。俳優コクランの依頼で書いた『シラノ・ド・ベルジュラック』は、サラ・ベルナールがロスタンにコクランを紹介したことがきっかけだった。この辺りの事情は映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』にもきっちり描かれている。
エドモン・ロスタンはサラ・ベルナールのために幾つか戯曲を書いた。『遠国の姫君』などは彼女の当り役。また、この芝居はアール・ヌーヴォーを代表する画家のアルフォンス・ミュシャが舞台美術、衣装をデザインしている。調べてみるとなかなか興味深い。
芍薬の「サラベル」は、専門家の手にかかるとニ十センチ以上の大輪になるそうだが、素人でここまで育てるのは難しい。今はまだ茎が頼りないほど細くて花を支えきれない。もう数年かけて株を大きくする必要がありそうだ。それでもこの花を愛でていると、美人を形容する「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といった言葉に納得すること頻りである。