2024/8/18 金山隆夫×MM21響 マーラー「交響曲第3番」2024年08月18日 19:30



みなとみらい21交響楽団 第27回定期演奏会

日時:2024年8月18日(日) 13:30開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:金山 隆夫
共演:アルト/前島 眞奈美
   合唱/チロル少年少女合唱団
      女声合唱 Voices IRIS ほか
   合唱指導/柴田 美紀
演目:モーツァルト/キリエ ニ短調 K.341
   ブラームス/哀悼歌 Op.82
   マーラー/交響曲第3番 ニ短調


 演奏するに1時間40分もかかるマーラーの大曲「交響曲第3番」。
 MM21響はすでにマーラーの交響曲のほとんどを取り上げていて、曲によっては再演という天晴なアマオケである。演奏水準は高くもともと大曲主義でチャレンジ精神が旺盛、みあげた根性を持っている。
 第1楽章の8本のホルンの第一主題は迫力があった。あの難しいトローンボーンのソロも見事に決めた、トローンボーンのトップは白髪の年配者だったが、音程も音色もしっかりしており、音量も十分にあって非常に感心した。第1楽章が終わったところで会場から拍手が起きたのも無理はない
 第2楽章のメヌエットを経て、第3楽章のスケルツァンド、中間部のポストホルンはトランペットのトップが舞台下手にさがり舞台裏で吹いた。トランペットのトップもそれなりの年齢の奏者、ベテラン勢が大奮闘である。
 第3楽章の終了にあわせ独唱者と合唱団がP席に入場した。ソリストの前島眞奈美は最前列の中央、上手に女声合唱団、下手に少年少女合唱団が陣取った。第4楽章から最終の第6楽章まではアタッカで演奏された。
 前島さんは美声で声量豊富、ニーチェの「ツァラトゥストラ」からの詩を歌う。新進のメゾで新国立のオペラ研修所を終了し、来月からイタリアへ派遣されるという。将来楽しみな歌い手である。合唱団が加わり「少年の魔法の角笛」の歌詞を経て最終楽章へ。
 マーラーの交響曲の最終楽章は押し並べて演奏効果に富み、聴きごたえがあるが、その中でもこの「第3番」は最も感動的な楽章のひとつだろう。指揮の金山隆夫はだいぶ身体を絞って細身になった。そのせいかどうかわからないが、以前より切れ味が鋭い。アマオケ相手だからやみくもに煽りたてるようなことはしないが、終盤のクライマックスへ向けてのテンポ設定、クレッシェンドの振幅など、今までにないほどの大きな音楽をつくりあげた。

 今日の演奏会はマーラーの長大な「交響曲第3番」だけでなく、その前にモーツァルトとブラームスの混声合唱曲を披露した。
 モーツァルトの「キリエ」K.341はミステリアス、作曲の時期も何のために書かれたのかも知らない。管弦楽は大きな編成であり、荘重な半音階的進行やニ短調という調性はかの「レクイエム」と同じ。宗教音楽の傑作である。
 ブラームスの「哀悼歌」、以前は「悲歌」とも呼ばれていた。追悼のための美しい作品だけど、悲しみに終始することなく明るく力強く幸福感に満ちていた。

 真夏の酷暑の中にもかからずミューザにはたくさんのお客さんが詰めかけた。MM21響らしく意欲的なプログラムで暑さを吹き飛ばしてくれた。