2021/8/6 バッティストーニ×東フィル ローマの松2021年08月07日 09:26



フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2021
 東京フィルハーモニー交響楽団 

日時:2021年8月6日(金)19:00
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:アンドレア・バッティストーニ
共演:ハープ/吉野直子
演目:ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
   レスピーギ/組曲「シバの女王ベルキス」
   ニーノ・ロータ/ハープ協奏曲
   レスピーギ/交響詩「ローマの松」

 久しぶりのバッティストーニ。一時に比べるとだいぶ身体が絞られ、より精悍になった。プレトークで作品解説をしてくれたが、ゴツイ顔に似合わない軽やかないい声。テナーとしても通用するのではないか。

 結構な客の入りで、女性比率が高い。バッティの風貌はイカツイけど、確かに指揮姿はエネルギッシュで恰好いい。ご婦人方に人気があるのかな。

 プログラムは、レスピーギの2作品を休憩を挟んで前後に分け、ヴェルディの序曲とニーノ・ロータの協奏曲をそれぞれの前に置いた。

 ヴェルディの序曲は名刺がわり、相変わらず東フィルはよく鳴る。
 「シバの女王ベルキス」は5、6年前、タケミツホールにて同じコンビで聴いている。もとは異国情緒あふれたバレー音楽。バンダ、合唱が入る大規模な編成で全曲版はほとんど演奏されない。組曲でさえそんなにプログラムに載る曲ではない。タケミツホールに比べミューザは爆演しても音は飽和しないし抜けがいいので、逆に作品や演奏のアラに気づくことがある。「シバの女王ベルキス」は、音楽的な感興よりも鳴り物が総動員された際物に近い作品、と感じた次第。
 映画音楽で有名なニーノ・ロータの「ハープ協奏曲」は佳品。吉野さんのカデンツァには何時も感心する。アンコール曲はM.トゥルニエの演奏会用練習曲「朝に」とのこと、この小品もハープの魅力が一杯。
 最後の「ローマの松」はバッティにとっては自家薬籠中の曲、もちろん暗譜。音楽的にも「シバの女王ベルキス」より数段中身が濃い。バッティの咆哮を堪能したことは間違いない。

 実はこの公演、今年のフェスタサマーミューザのなかで、京都市交響楽団と並んで楽しみにしていた演奏会。期待が大きいとどうしても評価水準が上がってしまうので、結果は厳しいものになりがち。
 両公演とも、やはり期待値との落差が生じてしまった。無心で聴かなくてはいけない、と反省しきり。