パシフィックフィルの来期プログラム2024年12月11日 16:46



 パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の2025/26シーズンラインナップが発表された。これでようやく東京・神奈川に本拠地を置くプロオケ10団体の来期プログラムが揃った。

https://ppt.or.jp/

 PPTは年度末(2024年3月)に楽団員16名が一斉に退団するという異常事態を引き起こした。存立自体が危ぶまれるのではないかと心配していたが、定期演奏会6公演、名曲・特別演奏会2公演と回数を減らして次期プログラムが決まった。事情はよく分からないものの楽団内部に大きな困難を抱えているのだろう。

 さて、2025/26シーズンであるが、音楽監督の飯森範親が3公演を受け持ち、フェルディナント・リースやサン=サーンスなどを振る。ほかには園田隆一郎、原田慶太楼、ユージン・ツィガーン、出口大地などが登壇する。演目としては飯森が最近よく取り上げているリースの「交響曲第3番」やツィガーンの「展覧会の絵」などが注目されそう。

パシフィルの来期プログラム2023年11月17日 09:28

 
 
 パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)が2024/4~2025/3期のプログラムを発表した。これで東京・神奈川のプロオーケストラのシーズンラインナップ―――シーズン開始は各楽団によって1、4、9月と異なる―――が出揃った。

https://ppt.or.jp/news/seasonlineup2024-25/

 会場は芸術劇場、サントリー、オペラシティ、練馬文化センターと様々、特別演奏会を含めて全12回である。このうち、音楽監督の飯森範親が半数を指揮し、あとはリオ・クオクマン、園田隆一郎、デリック・イノウエ、鈴木秀美などが振る。
 全般に地味なプログラムのなかにあって、日本初演となるフェルディナント・リース「交響曲第2番」や、ショスタコーヴィチ「交響曲第11番」、ヴェルディ「レクイエム」などが予定されている。
 楽団名を改称し飯森範親が音楽監督に就任して3年目、あいかわらず知名度は低く集客に苦労しているが、さらなる飛躍ができるかどうか正念場である。

2023/11/1 汐澤安彦×PPT チャイコフスキ−「交響曲第4番」2023年11月02日 09:36



パシフィックフィルハーモニア東京
第2回名曲シリーズ

日時:2023年11月1日(水) 19:00開演
会場:東京芸術劇場コンサートホール
指揮:汐澤 安彦
演目:グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
   ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」
   ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より
          「ポロヴェツ人の踊り」
   チャイコフスキー/交響曲第4番 ヘ短調 作品36


 汐澤安彦は80歳半ば。先日、外山雄三が亡くなったから、現役の指揮者では最長老のひとりだろう。以前はプロオケを振っていたが、特定のポジションに就くことはなかったと思う。もっぱら東京音大で後進を育て、アマオケや大学オケ、吹奏楽団を指導してきた。首都圏のプロオケに登場するのは珍しい。

 何年ぶりかで汐澤翁をみた。だいぶ身体が小さくなって背も丸くなった。足腰はしっかりしている。舞台への出入りも危なげない。前半は立ったまま指揮、指揮台での下半身の動きは少なくなった。後半は椅子が用意されていたものの座ったのは半分ほど。首を傾げ挨拶する癖や、前のめりで指揮するところは変わっていない。驚いたのは全曲暗譜、いくら自家薬籠中の曲だからといっても歳を考えたら信じられない。

 あいかわらずリズム感が抜群、疾走感も半端じゃない。オケをよく鳴らしながら、ひとつひとつの楽器が埋もれないように聴かせる。たえず主旋律をはっきり浮かび上がらせるから筋書きが分かりやすい。といって内声部を疎かにしているわけではない。語り口が上手いのだろう。物語がサクサク進むように演奏時間が極めて短く感じる。

 オールロシアプログラム、前半では「ダッタン人の踊り」―――最近では「ポロヴェツ人の踊り」というらしい―――が、そのキレとスピードとクライマックスの凄まじさに仰天した。後半のチャイコフスキー「交響曲第4番」は、苦手なチャイコフスキーにもかかわらず飽きることがなかった。どんどん引き込まれ、ある種の快感を味わった。むかし同じ汐澤翁で聴いた「悲愴」を思い出していた。
 PPTのコンマスは塩貝みつる、トランペットのトップは東響の澤田真人がゲスト。

 さて、一時、怪我で休養していた汐澤翁だが、先月はSIOフィル、今月はこのPPT、来週は明治学院大オケ、年末は上智大オケを振る。老いて益々盛ん、元気で何よりである。機会があればまた聴いてみたい。

パシフィックフィルの来期プログラム(速報)2022年11月30日 19:23

  

 パシフィックフィルハーモニア東京の2023/4~2024/3シーズンプログラムが、おととい発表になっていた。

 https://ppt.or.jp/news/2023-24/

 従来の定期演奏会8回(芸術劇場6、サントリーホール2)と、練馬での定期1回(会場は武蔵野音楽大学 ベートーヴェンホール)に加え、新たにオペラシティホールでの定期演奏会3回と芸術劇場での名曲シリーズ2回である。ほかに「第九」の特別演奏会。
 このうち音楽監督の飯森範親は、特別演奏会を含め6回登場。定期演奏会では大長老、外山雄三の出番に注目。2回の名曲シリーズには、若手の太田弦と、もう一人の長老、汐澤安彦というのも面白い。汐澤翁の体調が快復したとすれば誠に目出度い。

 また、昨日は、新コンサートマスターとコンポーザー・イン・レジデンス就任の案内があった。

 https://ppt.or.jp/news/2023news/

 現コンサートマスター執行恒宏はそのままで、特別首席コンサートマスターにヘンリック・ホッホシルト、ソロコンサートマスターに髙木凜々子というびっくりの布陣。そして、作曲家の西村朗がコンポーザー・イン・レジデンスに就任する。PPTは、さらなる飛躍をめざして体制強化を図りつつある。

パシフィックフィルの来期プログラム2022年01月03日 08:14



 東京ニューシティ管弦楽団のHPに、パシフィックフィルハーモニア東京(2022/4/1に改名)の2022年度定期演奏会のラインナップが掲載されていた。

 http://www.tnco.or.jp/

 今まで東京芸術劇場で開催していた9回の定期公演のうち、7回はそのまま池袋で、2回はサントリーホールで開催される。別に練馬文化センターの1回と合わせ計10公演の詳細である。

 このうち4月から新音楽監督に就任する飯森範親が半数の5公演を指揮し、ショスタコーヴィチの「交響曲第1番」、ホルストの「惑星」、ブルックナーの「交響曲第4番」などのほかは、本邦初演が3曲も含まれるという意欲的なプログラムである。
 客演指揮者では鈴木秀美の「太鼓連打」と「エロイカ」、秋山和慶のエルガー「チェロ協奏曲」(ソロ/新倉瞳)と「不滅」あたりが期待できそう。

 海外勢の指揮者は、6月のステファン・アズベリーと9月のオーギュスタン・デュメイの2人。ソリストは、5月のニュウニュウとマーティ・フリードマン、来年1月のヤン・インモの3人。
 パシフィックフィルに限らないが、来日できるかどうかは変異株の流行次第、どの楽団も不安を抱えたままのプログラム発表である。