模様替え2024年11月03日 15:16



 外構のフェンスぎわにコニファーと定家葛を目隠しのため植えているのだが、どちらもみっともないほど手が付けられなくなってきた。
 コニファーは枯れたものや枯れそうなものがあり、生長の度合がバラバラで背丈が凸凹になっている。間違って購入したシルバースターの間にエンパイアが混ざるという珍奇な姿形も放置できない。
 フェンスのコーナーにある定家葛は樹勢が旺盛すぎて剪定など追い付かず伸び放題、通行の邪魔になるほど近所迷惑となっている。

 で、天気を見計らいこれらを思い切って伐採し撤去することにした。
 コニファーのあとには挿し木で根付いた五色南天を移植した。五色南天は生長が遅く樹高もそんなに大きくならないから目隠しに不完全であっても見栄えはまずまずだろう。
 定家葛のかわりは穏やかな初雪葛とする予定で、初雪葛はいま挿し芽をして活着を待っている。順調にいけば来春には地植えできると思う。
 
 模様替えによって窓の外はかなり開放的で見通しが良くなった。この先の試行錯誤の成果は如何になろうや。

2024/11/4 汐澤安彦×白金フィル ショスタコーヴィッチ「交響曲第5番」2024年11月04日 20:56



白金フィルハーモニー管弦楽団 第33回定期演奏会

日時:2024年11月4日(月・祝) 14:00 開演
会場:みなとみらいホール
指揮:汐澤 安彦
共演:ヴァイオリン/中谷 哲太朗
演目:スッペ/喜歌劇「軽騎兵」序曲
   チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
   ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番


 汐澤安彦はこの白金フィルをはじめ足立シティオケや上智、明治学院の両大学オケなどを定期的に振っている。汐澤翁は80歳の半ば、腰は曲がり、背中は傾き、歩くのも引き摺るような足の運びで少々不自由。1年前のパシフィックフィルを振ったときより一層老け込んだように見える。この歳になれば衰えが年々目立つようになるのかも知れない。とうぜん指揮台には椅子が用意してあった。

 スッペの「軽騎兵」からスタート。この曲は立ったまま指揮、譜面台にはスコアが広げてあったが一瞥もしない。以前に比べるとテンポは少し遅くなったものの歯切れのよさは変わらない。オペレッタの序曲とは思えないほど大きくて感動的な音楽を聴かせてくれた。

 チャイコフスキーは苦手で交響曲やバレエ音楽、有名なピアノコンチェルトなど積極的に聴こうとは思わないが、「ヴァイオリン協奏曲」だけはそれほど抵抗がない。
 ソリストの中谷哲太朗は藝大付属の高校1年生。指揮者との年令差はじつに70歳。細身で背が高く、汐澤翁が小さくなったこともあって、並んで立つと汐澤翁は中谷君の肩までしか届かない。
 ヴァイオリンの音量はびっくりするほどではないけど、音質は濁りがなく透明感があってよくホールに広がる。1音1音がしっかりとしていて熱量もある。第1楽章が終わるとたくさんの拍手が巻き起こった。第2楽章の豊かな抒情も見事で、最終楽章の情熱の爆発もスピード感を伴って弾ききった。
 ソリスト・アンコールはバッハの無伴奏3番の「ラルゴ」、美しい音がホールの天井に吸い込まれていった。

 汐澤翁のショスタコーヴィッチは、遠いむかし足立シティオケで聴いている。そのときは伊福部昭の「マリンバとオーケストラのためのラウダ・コンチェルタータ」との組み合わせで、いまだに2曲とも鮮明に覚えている。
 今日の「第5番」も曲のつくりは基本的に同じ。演出を凝らしたりあざといことは一切しない、懐が深く自然体で包容力がある。聴き手がテンポを緩めてほしい、アクセルを踏んでほしい、この楽器を浮き出させてほしい、少し音量がほしい、などと願う通りに音楽が進んでいく。
 そして、その音楽に身体を委ねていると、ショスタコーヴィッチの怒りや悲しみ、皮肉や諦念、叫びや韜晦をたしかに感じる取ることができる。もちろん、これは後付けの知識のせいもあるのだが、まさしく書かれた音楽自体がそうなのだ、と確信させてくれる。汐澤翁の音楽の凄さはそこにある。

 白金フィルのメンバーは明治学院大学管弦楽団のOB・OGで構成され、学生時代から汐澤安彦の薫陶を受けている。アマオケの水準として飛びぬけて優秀とは思わないが、汐澤翁とともに音楽をつくると、個々の腕前とか合奏能力といった技術的なことなどほとんど気にならなくなってくる。これも驚嘆すべきことだろう。
 オーケストラ・アンコールはエルガーのエニグマ変奏曲から「ニムロッド」、桁違いの偉大な「ニムロッド」に茫然とするうちに演奏会は終わった。

日フィルの来期プログラム2024年11月06日 14:12



 東京・神奈川をホームグラウンドとするプロオケは10団体あるが、シーズンの開始月は次のようになっている。

 1月=東フィル
 4月=都響、読響、東響、新日フィル、シティフィル、
   パシフィル、神奈川フィル
 9月=N響、日フィル

 このうち9月開幕の日本フィルハーモニー交響楽団は、2026/27シーズンから4月スタートに変更する。日フィルは2026年に創立70周年を迎えることから、これを契機に開始月を見直すとのこと。
 したがって、2025年9月から2026年3月までは移行期間とし、サントリーホールの東京定期演奏会(金曜19時と土曜14時の2回同一プログラム)と、みなとみらいホールの横浜定期演奏会(土曜15時)においてそれぞれ6回の公演が開催される。

https://japanphil.or.jp/news/26386

 首席指揮者のカーチュン・ウォンは3プログラムを指揮し、得意とするマーラーの「悲劇的」、ショスタコーヴィチの「交響曲第11番」、「新世界より」などを振る。ドヴォルジャークと組み合わせた伊福部昭の「SF交響ファンタジー第1番」にも注目だ。
 桂冠名誉指揮者の小林研一郎はシベリウスの「交響曲第2番」と「エロイカ」を中心とした2プログラム、新シリーズの「オペラの旅」で話題となっているフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一はショスタコーヴィチの「交響曲第15番」とサイの「チェロ協奏曲」というちょっと捻ったプログラム。
 そのほか客演勢として山田和樹、下野竜也、藤岡幸夫、太田弦、出口大地といった指揮者を揃え、フランス、北欧、ロシアものなどを披露する予定となっている。海外からはウイーンフィルのヴァイオリニストであるヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクを招き、J.シュトラウスやモーツァルトを弾き振りする。

2024/11/9 小森輝彦 「水車屋の美しい娘」2024年11月09日 21:34



舞台芸術創造事業 歌劇「水車屋の美しい娘」

日時:2024年11月9日(土) 15:00 開演
会場:東京文化会館 小ホール
演出:岩田 達宗
振付:山本 裕
出演:バリトン/小森 輝彦
   ピアノ/井出 德彦
   ダンス/船木 こころ
演目:シューベルト/水車屋の美しい娘


 演出家・岩田達宗の発案による歌曲集を歌劇として上演する企画だという。
 「水車屋の美しい娘」はシューベルトがミュラーの連作詩に曲をつけたリート作品、むかしは「美しき水車小屋の娘」と言ったはず。あてもなく彷徨う「冬の旅」や遺稿集の「白鳥の歌」と比べるまでもなく確かに物語性が高い。

 粉挽き職人である若者の旅立ちからはじまり、若者は水車屋の美しい娘と出会い恋をする。しかし、彼女は若者につれない。狩人があらわれると彼女は狩人に魅かれてしまう。若者は絶望のあまり川に身を投げる。

 ホールの天井から水の流れを模した何本ものテープがぶら下がり、中途に大きな水車が造られている。水車からテープの水は傾斜をつけ舞台の手前正面まで降りている。舞台の上手と下手には階段があって、上手を昇ると小さな高台があり、下手の階段は水車につながっている。
 ピアノは中央に置かれ、しかし、水であるテープの裏側に隠れて奏者の井出德彦ともどもほとんど見えない。
 小森輝彦は正装で茶色のフロックコートを着ていたが、佇んで歌うのでなく階段の昇り降りはもちろん舞台の端から端まで動き、時には客席まで使って歌った。オペラで鍛えているせいか激しい演技をしながらでも声は乱れない。表現は多彩、驚異の歌唱力である。
 ダンスの船木こころは質素な職人風の服をまとい、これも激しい踊りで若者の感情を表出した。小森輝彦の一人芝居を船木こころがダンスで補い、二人して若者役を演じたということだろうか。

 小森輝彦の前口上から始まった。
 1.修行の旅=さすらい 2.どこへ? 3.ここだ! 4.小川に感謝を込めて 5.夜の反省会 6.知りたくて 7.我慢できない 8.朝の挨拶 9.粉挽きの花 10.なみだ雨 11.ぼくのもの、と歌い、ここで20分の休憩。
 後半の始まりはパイジェッロの「水車屋の美しい娘」という同名の喜劇オペラから「もう心は死んでしまった」を歌ったあと、再びシューベルトへ。
 12.ひと休み 13.緑のリリボンで 14.狩人 15.嫉妬と自尊心 16.好きな色 17.嫌いな色 18.乾いた花 19.粉挽きと小川 20.小川の子守歌、後半は曲と曲との間合いも十分に取って一層緊迫感を高めていく。
 後口上を添えて歌芝居が終わった。

 演出の岩田達宗、バリトンの小森輝彦、ピアノの井出德彦、振付・山本裕による船木こころのダンス、松生紘子の舞台装置、大島祐夫の照明、前田文子の衣裳によって「水車屋の美しい娘」の世界がドラマチックに拡張した。シューベルトのリートの空間が限りなく歌劇に近づいた瞬間だった。
 シューベルト26歳の青春の歌。「冬の旅」まで4年、シューベルトの命はわずか5年しか残されていない。

読響の来期プログラム2024年11月12日 09:33



 読売日本交響楽団の2025年4月~2026年3月のシーズンプログラムが発表された。併せて常任指揮者ヴァイグレの任期が3年間延長され、2028年3月末まで常任指揮者のポストを担うことになった。

https://yomikyo.or.jp/2024/11/Yomikyo_2025-26_Program.pdf

 プログラムはサントリーホールの定期演奏会と名曲シリーズ、東京オペラシティ コンサートホール(前半)及び東京芸術劇場 コンサートホール(後半)における土曜/日曜マチネーシリーズ、横浜みなとみらいホールの横浜マチネーシリーズの4シリーズである。

 ヴァイグレは7シーズン目となり、ハンス・プフィッツナーのカンタータ「ドイツ精神について」の日本初演をはじめ、ブラームス、R.シュトラウスなど13公演を指揮する。
 今季から首席客演指揮者を務めるユライ・ヴァルチュハは「大地の歌」や「英雄」と「メタモルフォーゼン」のカップリングなどを披露する。
 桂冠指揮者のシルヴァン・カンブルランは7月に登場。クリエイティヴ・パートナーの鈴木優人はシーズン終わりの3月にメンデルスゾーン版の「マタイ受難曲」などを振る。メンデルスゾーン版「マタイ受難曲」は以前東響の定期においてプログラムされていたが、コロナ禍で中止となってしまった。オケが変わるものの注目の公演である。
 そのほか客演指揮者としては、ハンブルク州立歌劇場の総音楽監督であるケント・ナガノ、オクサーナ・リーニフ、山田和樹などが登場する。