2023/5/13 沼尻竜典×新日フィル シベリウス「Vn協」とメンデルスゾーン「讃歌」2023年05月13日 20:47



新日本フィルハーモニー交響楽団
#649〈トリフォニーホール・シリーズ〉

日時:2023年5月13日(土) 14:00開演
場所:すみだトリフォニーホール
指揮:沼尻 竜典
共演:ヴァイオリン/ユーハン・ダーレネ
   ソプラノ/砂川 涼子
   メゾ・ソプラノ/山際 きみ佳
   テノール/清水 徹太郎
   合唱/栗友会合唱団、新国立劇場合唱団
演目:シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
   メンデルスゾーン/交響曲第2番 変ロ長調 op.52
           「讃歌」


 同日同時間に新日フィルと神奈川フィルの定期が重なった。新日フィルは15日にもサントリーホールにおいて同一プログラムの公演があるため、振替えを考えたけど、そうなると、明日の「エレクトラ」を含め3連荘となる。ちょっと体力的に自信がない。したがって、大植×神奈川フィルを別日の公演に振替えることにした。
 それにしても定期公演日に監督が隣接県で他のオケを振るのは勘弁してほしい。とはいっても、シベリウスとメンデルスゾーンの両演目、魅力的ではある。

 シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」の独奏者ダーレネは、まだ20代前半。北欧スウェーデンの出身、若者らしく白いシャツ姿で元気よく登場。
 隣国フィンランドのシベリウスは得意とするところだろう。第1楽章の珍しくも中間部に置いたカデンツァの技巧や、第2楽章の冷え冷えとした抒情、最終楽章の弾むような高揚感など、たしかなテクニックをもっている。沼尻さんもオーケストラの捌き方にそつがなく、終始気持ちのいいサポートだった。
 ソリストアンコールは、オケの弦楽器奏者と一緒に、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」。

 「讃歌」は、むかし音盤で時々聴いたが、実演は初めて。プログラムノートを読むとグーテンベルクの活版印刷発明400年を祝して作曲したものだという。
 第1曲はオーケストのみによるシンフォニア、3つの部分に分かれていて、序奏+アレグロ、スケルツォ楽章、緩徐楽章となっている。第2曲から第10曲の終曲までは合唱とソプラノ、メゾ、テノールの独唱が加わる。構成は「第九」のフィナーレ楽章を長大なカンタータに置き換えたようなものだ、カンタータの部分は旧約聖書の「詩編」の歌詞を編纂したものらしい。
 沼尻さんは、オペラに長けているだけあって、管弦楽、合唱、独唱をコントロールして、調和のとれた音楽をつくる。崇高な響き、愁いをおびた歌い回し、劇的な表情など多種多様な表現を駆使する。あまりポピュラーな曲ではないものの、馴染みのない曲でも面白く聴かせる手腕にはいつもながら感心する。
 砂川涼子さんは、歌唱、容姿とも相変わらず美しい。山際きみ佳さんと清水徹太郎さんも素晴らしい声、びわ湖ホール声楽アンサンブルのソロ登録メンバーとある。芸術監督であった沼尻さんのお気に入りでもあるのだろう。
 オケは14型、コンマスは崔文洙、隣に伝田正秀。管楽器では序奏からトロンボーン3人が目立っていたが、クラリネットのペレス・ミランダ、ファゴットの河村幹子さんが良い音を出していた。ホルンの日髙剛さんは教育者としても有名な人で、さすが美しいソロを聴かせてくれた。

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