2023/5/21 ノット×東響 マーラー「交響曲第6番」2023年05月21日 19:31



東京交響楽団 名曲全集 第187回

日時:2023年5月21日(日) 14:00開演
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ジョナサン・ノット
共演:ピアノ/小埜寺美樹
演目:リゲティ/ムジカ・リチェルカータ 第2番
   マーラー/交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」


 指揮者、楽団全員が舞台に登場してから照明が落とされ、ピアノにスポットライトがあたる。
 リゲティの全11曲から成るピアノ・ソロ「ムジカ・リチェルカータ」のなかから第2番。小埜寺美樹が3音のみを使って奏でる。
 3分ほどのピアノ・ソロが終わると舞台全体が明るくなり、そのままマーラーの「交響曲第6番」が始まった。
 ゆっくりと柔らかく、あまりのさり気ない歩みに意表をつかれる。第2楽章には歯切れのいいスケルツォを置いた。アダージョは甘美な旋律、彫の深い表現。最終楽章に最大限のエネルギーを投入し、大きなクライマックスを築く。ハンマーは手稿を根拠に5回叩いた。
 ノットのマーラーは、たしかに斬新で、部分部分はすこぶる面白いのだけど、曲をまるごと聴いたあとの感銘が何故かおぼろげである。

 ノットは「エレクトラ」の公演前に読売新聞のインタビューを受け、それが記事になっている。
―――指揮者には二つのタイプがあると話す。一つは建築家タイプで、対象をじっくり分析し、自分の流儀で綿密に構築していく。もう一つはサーファーのようなタイプで、やって来る波を素早く見極め、絶妙なバランス感覚で乗りこなす。「私はサーファー・タイプ。自分が乗る板、つまりオーケストラの特性を熟知し、音楽という波に乗って物語を紡いでいく」―――
 R.シュトラウスやモーツァルト、ブルックナーなどは、ノットの即興性が曲全体の感銘を深く確かなものにしてくれることがある。しかし、ベートーヴェンがその典型で、マーラーやショスタコーヴィチなども、演奏の即興性が構築性を凌いでしまうと、曲のもつメッセージがうまく伝わって来ないことがある。
 今日のマーラーの「交響曲第6番」は、やはり、そうでなかったか、と思う。

 マイクが林立していた。ニコ動の配信があり、下のサイトで視聴可能だが、それにしてはマイクの数が多い。CDの録音用かもしれない。

https://live.nicovideo.jp/watch/lv340528461