2023/1/21 沼尻竜典×神奈川フィル ベートーヴェンとサン=サーンス ― 2023年01月22日 10:11
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会第382回
日時:2023年1月21日(土) 14:00開演
会場:横浜みなとみらいホール
指揮:沼尻竜典
共演:ヴァイオリン/神尾真由子
パイプオルガン/アレシュ・バールタ
演目:ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調Op.78
「オルガン付き」
開演前にプレコンサートがあった。ゲストのアレシュ・バールタのオルガン演奏で、J.Sバッハの「トッカータとフーガ ニ短調 BMW565」。
沼尻監督の定期演奏会登場は、昨年7月のショスタコーヴィチ「交響曲8番」以来、半年ぶり。
前半は、神尾真由子のソロで、ベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」。
予想が見事に外れた。てっきりバリバリ弾くものだと思っていた。音が濁るのも恐れずに。あにはからんや、神尾は徹底的に弱音にこだわり、美音を追求した演奏。
沼尻も遅めのテンポで丁寧に支える。第2楽章までは張り詰めた空気に覆われ息もつけないほど。最終楽章になってようやく解放されたけど。
ベートーヴェンがダイム伯爵未亡人ヨゼフィーネに夢中になっていた時期の作品、「交響曲第4番」「ピアノ協奏曲第4番」とともに、恋するベートーヴェンの傑作。ベートーヴェンの作品ということで、力強く激しいヴァイオリン独奏が多いけど、穏やかで繊細でありながら緊張感をはらんだ演奏。こういった解釈によってこそ、ベートーヴェンの真意がより伝わるのではないか、と感じいった次第。
アンコールはパガニーニの「24の奇想曲 第5番」。神尾のテンションが炸裂し、パガニーニが鬼神と恐れられたことに納得。
後半は、チェコのオルガニスト、アレシュ・バールタが客演して、サン=サーンスの交響曲「オルガン付き」。
がっしりとした手触り、そのぶん瑞々しさや色気は少々不足気味で、洒落た雰囲気には乏しい。ドイツ風交響曲の味わいだった。
神奈川フィルは、前半12型、後半14型。コンマスは石田泰尚、第2ヴァイオリンのトップには川又明日香がゲスト。ティンパニは篠崎史門、久しぶりにみたけど髪をオールバックに変えて、ますます父親に似てきた。