2023/12/9 秋山和慶×東響 ベートーヴェン「第九」2023年12月09日 18:46



東京交響楽団 名曲全集 第194回

日時:2023年12月9日(土) 14:00開演
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:秋山 和慶
共演:ソプラノ/三宅 理恵
   メゾソプラノ/小泉 詠子
   テノール/福井 敬
   バス/妻屋 秀和
   合唱/東響コーラス
演目:ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスター
         ジンガー」第1幕への前奏曲
   ベートーヴェン/交響曲第9番 ニ短調op.125
         「合唱付き」


 昨年は10月に広上×東京音大の「第九」を聴いた。一昨年の師走は川瀬×神奈川フィルだった。久しぶりの秋山×東響の「第九」である。

 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のあと、休憩をはさまず、チューバとハープが抜け、コントラファゴットが入り「第九」の演奏となった。
 弦は12型、合唱は舞台後方とP席に並ぶ。P席での配置は1席置きとし、舞台上では間隔を空けた感染防止仕様、それでも100人以上が陣取った。ソリストも合唱団の前に座る。普通ソリストは第2楽章を終えたあと登場する。曲の最初から待機するのは珍しい。

 秋山さんのテンポは、数年前に比べるとかなりゆっくりとしたもの。といって弛緩したわけではない。足腰はしっかりしているし、両腕の振りはダイナミックで力強い。要所要所で嫌味のないタメをつくり、いい意味で外連味が加わって起伏が大きい。やはり緩徐楽章の息遣いが絶妙で目頭が熱くなる。80歳を越えて、なおも進化している。スコアは開いて置いてあったけど、けっきょく1頁もめくることはなかった。
 男性ソリストの妻屋、福井さんも大ベテラン。こちらもまったく衰えはみえない。目の覚めるような歌いっぷり。指揮、オケ、ソロ、合唱、いずれも安定の仕上がりだった。

 アンコールはいつものように「蛍の光」。照明が徐々に落とされ、最後は暗闇のなか合唱団のペンライトだけが残って終了。少し早めの年末の光景、はやくも1年が過ぎた。