2024/8/4 あこがれ inかなっく モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」2024年08月04日 19:42



あこがれ inかなっく Vol.3
モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(ハイライト)

日時:2024年8月4日(日) 14:00 開演
会場:かなっくホール
指揮:高橋 健介
出演:ソプラノ/嘉目 真木子(フィオルディリージ)
   メゾソプラノ/遠藤 千寿子(ドラベッラ)
   ソプラノ/雨笠 佳奈(デスピーナ)
   テノール/澤原 行正(フェランド)
   バリトン/大川 博(グリエルモ)
   バリトン/大島 嘉仁(ドン・アルフォンソ)
   ピアノ/寺本 佐和子


 呉市ではじまった「あこがれプロジェクト」の横浜引っ越し公演。第3回目はいよいよモーツァルト。「コジ・ファン・トゥッテ」を“恋人たちの学校”という副題そのままに、舞台背景を学校の教室に見立てた上演。昔、晴海の第一生命ホールにおいて似たような公演を観たことがある。
 今回の歌い手は嘉目、澤原、大川のいつものメンバーに新たに遠藤、雨笠、大島が加わった。指揮とピアノは変わらない。

 正味2時間のハイライト版。ナポリの屋敷や庭園を学校の教室に読み替えた舞台ながら、劇としてしっかり見せるという方針なのか台詞に当たるレチタティーヴォ・セッコを丁寧に扱っていた(日本語字幕が広島弁?には笑ってしまったが)。
 その一方、第1幕における「毎日お手紙を下さいね」「風は穏やかに」「岩のように動かない」などのアンサンブルやアリアが省略されたり短縮されていたのは残念。第2幕のドラベッラやフィオルディリージが変装した恋人たちの誘惑に負けるところや、終盤の結婚式を経て真相が明かされる四重唱や六重唱では改めてモーツァルトの音楽の凄みを味わうことができたけど。
 今日初めて聴いた声楽家のなかではデスピーナを演じた雨笠佳奈に注目した。透明感のある声や軽快な動作が魅力的、バルバリーナやツェルリーナ、パパゲーナなども適役だろう。

 小さなホールでの一流の歌手たちの熱唱は贅沢な時間だったが、歌と劇との融合という面ではちょっと中途半端になってしまった。
 モーツァルトのオペラは、思い切ってアリアと重唱に絞り込んだ演奏会形式か、読み替えも省略もない本格的な舞台公演のどちらかで観賞するほうがよさそうだ。

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