2024/6/30 秋山和慶×かわさき市民オケ スメタナ「我が祖国」2024年06月30日 20:40



ミューザ川崎市民交響楽祭2024
    かわさき市民オーケストラ

日時:2024年6月30日(日) 14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:秋山 和慶
共演:ピアノ/小川 典子
演目:リスト/ピアノ協奏曲第1番
   スメタナ/連作交響詩「我が祖国」


 川崎市にある4つのアマチュアオーケストラの合同編成で、川崎市市制100周年記念事業にしてミューザ川崎シンフォニーホール開館20周年記念公演を、生誕200年のスメタナ「我が祖国」で飾るという趣向の演奏会があった。
 出演は麻生フィルハーモニー管弦楽団、川崎市民交響楽団、高津市民オーケストラ、宮前フィルハーモニー交響楽団の4つのアマオケ。各楽団とも聴いたことはないが、古くは70年、若くても30・40年の歴史を誇り、地域に根ざした地道な活動を続けているという。地域のオケとしてメンバー構成は幅広く、白髪の老人や海外からの男女も何人か加わっていた。
 指揮の秋山翁は、鎖骨骨折のため5月、6月の降板が続き心配していたが、元気な姿を見せてくれた。まずはめでたい。

 スメタナの前にミューザ川崎のホールアドバイザーでもある小川典子のソロでリストの「ピアノ協奏曲第1番」が演奏された。
 小川典子を聴くのは久しぶり。毎年フェスタサマーミューザに登場しているから、聴く気になればいつでも聴くことはできるが、基本がオケ中心の演奏会通いだから、ご無沙汰してしまうことがママある。
 小川さんは昔と変わらない。小柄な身体で豪快に弾く。リストとは良い選曲だった。梅雨空を吹き飛ばす勢いで、爽快な演奏だった。

 20分の休憩後、連作交響詩「我が祖国」。この3月に広上×神奈川フィルで感銘を受けたばかり。全曲を通して聴くには長大で心構えが必要だが名曲である。来月にはポペルカ×プラハ放送SOが「我が祖国」全曲をもってくる。会場が高崎の芸術劇場、19時開演では断念せざるをえないが。ポペルカはウルバンスキやオラモなどと並んで、ノットのあとの東響監督の候補ではないかと密かに睨んでいる注目の指揮者。いや、彼はウィーン交響楽団の首席指揮者になってしまったから難しいか…おっと、これは余計な話だった。

 今日の「我が祖国」、前半3曲と後半3曲の間に20分間の休憩を設けてくれた。オケは4楽団合同という大所帯でもあるし、3曲ずつに集中して演奏するということあってか、木管と金管を中心に前後半でメンバーがほぼ総変わりとなった。
 演奏会全体では、合わせて40分の休憩時間のせいで、おおかた3時間近くの長丁場となったが、聴き手の疲労感はかなり軽減された。「我が祖国」は途中休憩を挟んだほうが快適に聴くことができるかも知れない。

 さて、秋山翁だが、骨折の影響はなさそうだ。腕の振りにもギクシャクしたところはなく普段と変わらない。相変わらず音楽の流れの作り方が巧みで、いつものように秋山マジックを披露してくれた。オケの木管と金管が前後半とも精度と音色に少々課題があり、最強音の混濁も最後まで気になったけど、まぁ、今日は元気な秋山翁の姿を拝見しただけで満足すべきコンサートだった。