10月の旧作映画ベスト3 ― 2023年10月30日 08:21
『緑園の天使』 1945年
“栴檀は双葉より芳し”という。撮影当時12歳のエリザベス・テイラーが主演、後年の彼女を重ね合わせるからか圧倒的な存在感。物語は障害レースに出場させるため、暴れ馬に愛情を注ぐ少女の成長物語。動物映画に不作なしと、ここでも証明されている。世俗的な父親と気高い母親の対比が微笑ましい。アカデミー女優助演賞を受賞した母親役のアン・リヴィアの演技が素晴らしい。原作は英国の女流作家イーニッド・バグノルドの同名の小説。この映画はYouTubeでも視聴可能。
『ベイビー・ドライバー』 2017年
犯罪チームのボス(ケビン・スペーシー)と、逃がし屋ドライバー“ベイビー”(アンセル・エルゴート)の話なのだけど、派手なカー・アクションだけではなく、音楽と映像が一体化し、爽快なスピード感を味わえる映画。赤いスバルが大活躍。幼い顔立ちのアンセル・エルゴートは耳に障害を持つ天才ドライバー、クールな造形が決まっている。ラブストーリーも同時進行する。“ベイビー”の彼女はリリー・ジェームス、ひたすら可愛い。贔屓の女優さんだから大幅に加点。脚本・監督は鬼才エドガー・ライト。
『THE GUILTY/ギルティ』 2018年
北欧のミステリー映画は傑作が多い。この映画も最良の一本。ハリウッドのリメイク版がある。主人公は緊急通報センターのコールオペレーター。電話から聞こえる男女・子供の声と音だけで誘拐事件を解決するという緊迫感。どんでん返しがあり、映画タイトルの意味も最後に明らかになる。緊急通報センターには当然何人か詰めているが、実質は主人公ヤコブ・セーダグレンの一人芝居、あっけにとられるほどの名演。音楽は本編に一切なしという潔さ(『ベイビー・ドライバー』と真逆)。