9月の旧作映画ベスト32023年09月30日 08:40



『バクダット・カフェ』1988年
 イラクの首都ではなくてアメリカのカリフォルニア州にあるバクダット、モハーヴェ砂漠のカフェ兼ガソリンスタンド兼モーテルが舞台。製作は当時の西ドイツとアメリカ。脚本・監督はドイツ人のパーシー・アドロン。日本の初公開はミニシアターでロングラン上映となった評判作。何ともいえないほんわかした雰囲気の映画。主人公である太目のドイツ女性ジャスミン(マリアンネ・ゼーグブレヒト)の存在感が抜群。ジャック・パランスがそれらしくない役でいい味をだしている。音楽は大ヒットしたテーマ曲「コーリング・ユー」がやはり名曲。劇中、壊れかけたピアノでバッハの「平均律」も演奏されるけど。

『プリティ・ウーマン』1990年
 『マイ・フェア・レディ』が下敷きの現代版シンデレラ物語。安定のリチャード・ギアとジュリア・ロバーツだが、キャスティングは難航しストーリーも二転三転したという。ジュリア・ロバーツの出世作であり、リチャード・ギアもこの作品で人気者に。主人公以外ではホテルの支配人(ヘクター・エリゾンド)の好感度が満点。物語はいまの世情ではかなり反感を招く類かもしれない。でも、昔からあるお伽噺を単純に楽しんだってバチは当たるまい。監督はゲイリー・マーシャル。彼は10年後にも同じ2人が共演した『プリティ・ブライド』を撮っている。

『カモン カモン』2022年
 比較的最近の映画なのにモノクロ作品。マイク・ミルズ監督、『ジョーカー』のホアキン・フェニックスが主演。突然預かることになった9歳の甥っ子(ウッディ・ノーマン)との共同生活を描く。甥っ子に振り回されるホアキン・フェニックスに苦笑する。子役のウッディ・ノーマンはあきれるほど達者、演技なのか地なのか、末恐ろしい。映画のなかにインタビューの応答、本からの一節、詩の引用などの“言葉”が効果的に挟み込まれる。甥っ子が言う「未来に起こると思ったことは起きない。予想もしないことが起こる。だから前に進むしかないんだ」、<C'mon C'mon>これが映画のタイトルに。