2024/1/13 小泉和裕×神奈川フィル+金川真弓 ブラームスの協奏曲2024年01月13日 19:01



神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 みなとみらいシリーズ定期演奏会 第391回

日時:2024年1月13日(土) 14:00開演
場所:横浜みなとみらいホール
指揮:小泉 和裕
共演:ヴァイオリン/金川 真弓
演目:ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
   チャイコフスキー/交響曲第1番ト短調Op.13
          「冬の日の幻想」


 今年の初聴きは、神奈川フィルと金川真弓のブラームス。
 金川真弓は全く力みのない艶やかな音。第1楽章の重音も濁ることなく、はっきりとした輪郭を描きながら鳴らす。長いカデンツァは誰が書いたものか、ここからコーダまでは格別の情感を注ぎ込んで行く。第2楽章の弱音の綺麗なこと、繊細で品格のある音が連続する。第3楽章はオケと対話しつつ勢いを失わない圧巻のフィナーレだった。指揮の小泉和裕は、協奏曲であろうとなかろうといつものように暗譜。

 「冬の日の幻想」はチャイコフスキーが20代で書いた最初の交響曲、何度も改定した労作だという。「幻想交響曲」のように曲自体に物語性があるわけではない。第1楽章から親しみやすいメロディが続き、後期の交響曲に繋がる部分もある。第2楽章はアダージョで、弱音器を付けた弦楽器のうえを木管楽器が歌う。第3楽章はスケルツォ、中間部がワルツになっている。第4楽章は力強いフィナーレ、ここまで沈黙していたピッコロ、トロンボーン、チューバ、バスドラム、シンバルが一斉に鳴らされ、終幕ではフーガ風の進行さえみせる。しかし、曲としては民謡からワルツ、フーガ、行進曲などを放り込んだ若書きの作品であまり面白いとはいえない。ときどき演奏会のプログラムに取り上げられるが標題で得をしているのだろう。「冬の日の幻想」とは何ともロマンチックな響きだから。
 小泉さんの音楽は、熱いながらも無暗に煽ることなく端正にまとめあげる。音盤でも実演でも聴いたことのない曲なのに退屈することはなかった。オケは14型、コンマスは石田泰尚、アシストは東亮汰が客演していた。