2023/7/8 神奈川フィル 「プルチネルラ」とベートーヴェン「交響曲第7番」2023年07月08日 20:05



神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 音楽堂シリーズ 第27回

日時:2023年7月8日(土)15:00開演
会場:神奈川県立音楽堂
指揮:―
演目:ストラヴィンスキー/組曲「プルチネルラ」
  ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調Op.92


 「プルチネルラ」
 Vn1の石田、Vn2の小宮、Vaの大島、Vcの上森、Cbの米長で編成した弦楽五重奏を核にして、それぞれの後ろに4-4-4-3-2と弦楽奏者が並び、クラリネットを省いた木管が各2、ホルン2、トランペットとトロンボーンが各1配置された。指揮者を置かず石田泰尚がリードする。
 「プルチネルラ」は、ストラヴィンスキーの原始主義から新古典主義へ変異するきっかけとなった曲といわれ、同じバレエ曲でもコンパクトで作風も簡素かつ穏やか。「春の祭典」の作者とは思えない。
 全曲版は以前KCOで聴いたことがある。今回は組曲版。1.序曲、2.セレナータ、3.スケルツィーノ、4.タランテラ、5.トッカータ、6.ガヴォット、7.ヴィーヴォ、8.メヌエット~終曲という構成。旋律は18世紀のペルゴレージなどの楽曲を用いている。簡素で穏やかと言いつつ、そこはストラヴィンスキー、管弦楽法はときとして鋭く尖っている。とくにヴィーヴォからメヌエットをはさんで終曲に至る楽器の使用法、リズム、音色は独創的。指揮者なしの神奈川フィルは、管楽器のソロを中心に好演だった。
 「プルチネルラ」の初演は1920年、ディアギレフ率いるバレエ・リュスのパリ・オペラ座公演。指揮はエルネスト・アンセルメ、衣装舞台デザインはパブロ・ピカソ、台本振付はレオニード・マシーン。大戦と大戦の間、こんな豪勢な時代があった。

 ベートーヴェンの「交響曲第7番」
 クラリネット2とティンパニが加わり、トロンボーンが下がった。トランペットは2に増え、ホルンのトップは國井から坂東に交代。弦は10型に増強された。総員40名強。石田泰尚の隣には今年4月よりコンマスに就任した大江馨が座った。
 最初から気合の乗った演奏。石田組長のリードでメンバー全員のエネルギーが一気に放出されたような爆演。とくに終楽章は気迫に満ちて興奮の坩堝。

 聴衆の大歓声に応えてアンコール。弦楽合奏をバックに組長の甘い「ライムライト」。これで終わりかと思えば、続いて「告別」の最終楽章を全員で。件のごとく楽団員は一人二人と舞台を降り、最後は組長にスポットライトがあたって終了。まったくもって心憎い演出。
 そういえば女性客が多かった。それも程よい年齢の落ち着いた感じの女性たちが目についた。石田泰尚の応援団かしら?