桃の節句 ― 2021年03月03日 07:34
今日は、五節句の一つ上巳(じょうし、じょうみ)。「節」は季節の変わり目、「節句」は邪鬼を払う行事。神様へお供えすることから「節供」とも。五節句とは人日(1/7)、上巳(3/3)、端午(5/5)、七夕(7/7)、重陽(9/9)をいう。
上巳とは、旧暦3月上旬の巳の日のこと。のちに3日に固定された。桃が咲くころで「桃の節句」ともいう。
桃は邪鬼を払う力があり、魔除けの木とされている。『古事記』にも伊邪那岐が桃の実を投げて黄泉の軍勢を追い払う話がある。桃太郎の鬼退治の昔話なども有名だ。また、この日、人形(ひとがた)を水に流して穢れを祓った。後年、この人形(ひとがた)が雛人形となり、雛祭りとなる。
庭の花桃は、蕾が膨らみ新芽が少し顔を出しはじめところで、開花にはまだちょっと早い。やはり旧暦の3月3日(新暦4月中旬)あたりに満開となりそうだ。
新暦3月3日の今は、馬酔木と沈丁花が咲いている。いずれも幼木で、背丈40cm内外である。それより胡乱なのは、この1年半、両方とも1cmも伸びていないことだ。もともと生長が緩慢であることは承知していたが、これほどまでとは思いも寄らなかった。根張りが未だ十分でないのかも知れない。
一昨年の秋に購入したあと、素人眼で選んだせいか、売れ残り?と疑うほど元気がなく、葉色もどんどん悪くなって行った。しかし、翌年(昨年の早春)には、両木とも花(萼)をつけた。花のあと花穂を取ったり、追肥を施したり、活性剤を噴霧したりして、結構手をかけた。
その結果、馬酔木は随分葉色が良くなってきた。が、沈丁花は甲斐なく葉が落ちることが目立ってきた。株の先端あたりに黄色く褪せて捩れた葉が数枚固まっているばかりだ。
花は今年も咲いた、沈丁花も。元気そうにみえる馬酔木は、どういうわけか昨年より随分花数が少ない。元気のない沈丁花は、去年より花(萼)が大きく数も多い。樹勢が弱くなると花つきが良くなるともいう。
馬酔木と沈丁花、季節に随い花は咲いても、それぞれどちらも心配ではある。
2021/3/6 小菅優&東響 モーツァルトとベートーヴェンのピアノ協奏曲 ― 2021年03月06日 17:24
東京交響楽団 モーツァルト・マチネ 第44回
日時:2021年3月6日(土) 11:00
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演:ピアノ:小菅 優(弾き振り)
演目:ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO4
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K. 488
2017年の「9番 ジュノム」「12番」、2019年の「8番 リュッツォウ」「21番」に続いて、モーツァルト・マチネにおける3度目の小菅の弾き振り。今回はベートーヴェンの「0番」と一緒に「23番」を。隔年の登場で、この先、シリーズ化する可能性があるのかも。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲「0番」は、13歳か14歳のときの作品、故郷ボンで書いている。独奏パートは完全に作曲されているが、管弦楽パートは失われている。演奏には管弦楽補筆が必要。今回は弦が6-6-4-3-2の編成、木管はフルート、金管はホルンだけ。プログラムノートには誰が補筆したのか記されていない。
予備知識なく聴いて、ベートーヴェンの作品だと分かるかしら。モーツァルトと並べても違和感がない。軽快で可愛らしいといっていいほど。厳めしいところはほとんどない。唯一、第一楽章のカデンツァのみベートーヴェンらしさを感じたけど、本人が書いたものかどうかは承知しない。この作品、“ロンドンのバッハ”ことクリスティアン・バッハの影響がある、ともいわれている。クリスチャン・バッハは、少年モーツァルトと年齢差を越えて親交し、音楽の先生でもあった。
ベートーヴェンが「0番」を書いていた当時、モーツァルトは30歳手前、ウィーン時代のピアノ協奏曲の楽譜はまだ出版されていなかったようだ。モーツァルトの「23番」とベートーヴェンの「0番」は、ほぼほぼ同時代の作品といっていいだろう。
「23番」は「フィガロの結婚」を完成させる直前の、モーツァルトが30歳のとき、全く性格の異なる「24番」とセットにして書いた。モーツァルトは、しばしば性格の違う曲を同時期に書く。ピアノ協奏曲でいえば「20番」と「21番」、交響曲の「39番」「40番」「41番」なども。
「23番」は「12番」と並んで、モーツァルトのピアノ協奏曲のなかで最もよく聴く。ともにイ長調の曲。イ長調のピアノ協奏曲はこの2曲だけ。「トルコ行進曲付のピアノソナタ11番」「クラリネット協奏曲」「クラリネット五重奏曲」もイ長調。
そういえば「23番」はオーボエを使用せずクラリネットが活躍をする。緩徐楽章はモーツァルトにしては珍しいアダージョの指定。ピアノからクラリネット、ファゴット、フルートへと音が渡されていくときも透明で重さを全く感じない。何度聴いても思う、絶美といっていい。
小菅&東響、前回、前々回とも伸び伸びとした演奏で楽しませて貰ったが、今回はテンポの設定やその伸縮が、こちらの呼吸と嚙み合わなくて、ちょっともどかしく感じた。彼らのスピードに取り残され、緩急に身体がついて行けなかったのかも知れない。才気溢れた素晴らしい演奏ではあったけど。
ついでに、モーツァルト・マチネで小菅&東響が取り上げた作品について、思いつくまま備忘録的に書いておこう。
「8番」「9番」は、パリ大旅行前のザルツブルグで、鬱々としていた20歳頃の作品。「8番」はレオポルトの弟子だったリュッツォウ伯爵夫人のために、「9番」はフランスの舞踏家の娘で、ウィーンの商人ジュナミと結婚した女性のために作曲された曲。以前はフランスから来たピアニストのジュノム嬢のための作品とされていたが、ジュノム嬢は実在の人物ではないことが分かっている。もっとも「9番」の「ジュノム」という愛称は定着していて、「ジュナミ」と変更される気配はない。
「12番」は結婚直後の、ウィーンでの予約演奏会用の協奏曲。はじめての予約演奏会だったと思う。「11番」と「13番」を合わせて「ウィーン協奏曲」と呼ぶこともある。緩徐楽章の主題は、同じ年のはじめに亡くなったクリスチャン・バッハの序曲を借用し、その死を悼んでいる。クリスチャン・バッハはJ・Sバッハの末の息子、ロンドンを訪れた少年モーツァルトに大きな影響を与え、モーツァルトは生涯にわたり師として敬愛をしていた。
11~14番のピアノ協奏曲は、作曲家本人が編曲した弦楽四重奏伴奏による室内楽版が残されている。小菅&東響の「12番」のあと、モーツァルト協会が主催したクリッヒェルと長原幸太たちとの室内楽版を聴く機会があった。自ずと聴き比べのようになったが、オケ版の華やかで生き生きとした演奏も、室内楽版の親密でありながら加速力溢れる演奏も、どちらも素敵で、やはり「12番」は名曲だと再認識した。
「21番」は、モーツァルトのピアノ協奏曲のなかで人気ナンバーワンだろう。特に、2楽章のアンダンテ。メシアンが“モーツァルトの音楽の、全音楽の最も美しいページの一つ”と称えたが、“この旋律は1967年のスウェーデン映画『みじかくも美しく燃え』で使われた”といった有名な話もある。多分、ほとんどの人は映画も観ないまま、単なる修飾語として知っている。まぁ、この映画も随分遠くなった。それに映画を引き合いに出す必要もないくらいこのアンダンテは美しく、作品のまとまりも素晴らしい。
ただ、無性に聴きたくなるのは、いつも「23番」と「12番」の方ではあるけれど。
2021/3/13 カーチュン・ウォン×東響+藤田真央 ― 2021年03月14日 08:56
東京交響楽団 名曲全集 第165回
日時:2021年03月13日(土) 14:00 開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:カーチュン・ウォン
共演:ピアノ:藤田 真央
演目:ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番
シベリウス:交響曲 第2番
序曲からはじまりモーツァルトの協奏曲にベートーヴェンの交響曲となれば、昔から名曲全集の定番だが、ベートーヴェンでなくともシベリウスの「交響曲2番」なら堂々たる名曲といえるだろう。そのくらい「シベ2」はポピュラーで人気もある。
シベリウスの実演は、この「2番」と、せいぜい「1番」「5番」くらいしか知らなかったが、ここ数年、「6番」や「7番」など後期の交響曲を聴いて、シベリウスを面白く感じるようになってきている。
後期ロマン派の交響曲といえばマーラーであり、管弦楽曲ならR・シュトラウスが中心だし、少し前にはブルックナーやワーグナーがいるから、このあたりを聴きだすと、シベリウスはどうしても縁遠くなる。
ヘルシンキを訪れたマーラーをシベリウスは訪問している。シベリウスは“交響曲においては、全ての動機を内的に関連させるスタイルの厳格さ、深遠な論理が重要である”と語ったそうだが、“交響曲は世界のようでなければならない。それは全てを包含しなければならないのだ”と、マーラーはほとんど正反対の考えを披歴したという。
シベリウスの交響曲は、後期に至るほど内省的かつ禁欲的で論理そのもののような、それでいて、人の情感に訴える音楽家になったけど、「2番」はそこまで貫徹しているわけではない。ワーグナーやブルックナーの影響もあるのだろう、フィナーレなど壮大で聴きごたえする。シベリウスは、交響曲においては交響詩のように標題的に意味づけられることを嫌ったが、北欧の荒涼たる風景がどうしても目に浮かぶ。政治的な意図はないとも表明するが、ロシア圧政下のフィンランド人の愛国心を感じる人もいる。実はこの曲、イタリアで着手され、イタリアで大部分が構想されている。このエピソードはドヴォルジャークがアメリカで、望郷の音楽「新世界より」を書いたことにちょっと似ている。
モーツァルトのピアノ協奏曲「24番」は、先週聴いた「23番」と同時期に書かれたハ短調の協奏曲。短調のピアノコンチェルトは、これとニ短調の「20番」のみ。ニ短調にも増して激情に溢れ、社交音楽であるべき予約演奏会用の曲としては相応しいとは思えない。“音楽はどんなに恐るべき箇所でも、耳に心地よいものでなくてはなりません”と語った彼は、聴衆を置き去りにしてどこへ行ってしまったのだろう。「フィガロの結婚」の完成間近にして、深淵の音を聴くことができた30歳は、人間の感情のすべてを音楽によって表し終えて、迂闊にも底知れない響の一端をピアノ協奏曲で披露してしまった、ということだろうか。
この演奏会、指揮はジョナサン・ブロクスハムの予定が、カーチュン・ウォンに変更。ソリスト藤田 真央はそのまま。
藤田 真央は一度聴いてみたかったピアニスト。写真をみると少女のようにも見えて、暗いロマンをはらむ「24番」はミスマッチではないか、と思ったが、見かけと造り出す音楽とは別だろう。先入見なしに聴いてみようかと。カーチュン・ウォンは二度目。
先ずは序曲。
ウェーバーはオペラや劇付随音楽を20曲ほど書いている。今では「魔弾の射手」以外は全曲演奏されることもないが、序曲だけで音盤が何枚にもなる。「オイリアンテ」は「魔弾の射手」や「オベロン」と並んでよく演奏会でも取り上げられる。吹奏楽用に編曲された演奏もなかなか楽しい。前段の助走、肩慣らしとしてはちょうどいい。
次いで、ピアノ協奏曲の「24番」。
藤田 真央は音量はそれほどでもないが、一つひとつの音が清潔で良く通る。軽やかに転がっていく。だから、悲劇的で激情が迸るような「24番」がなぜか儚い。特に二楽章のラルゲットなど淡く儚い。「24番」の別の面を垣間見たような気がして、これはこれで魅力的ではあった。
アンコールは初心者のためのピアノソナタハ長調一楽章、二楽章が聴きたかったけど、音質的にもこの曲はぴったし。
休憩後、後半はシベリウス「2番」。
指揮者カーチュン・ウォンは以前聴いているが、プログラムが思い出せない。いよいよ呆けたか。もちろん古い話ではない、2、3年前、東響と組んでいる。検索してみると、2018年、共演が郷古廉でブラームスのコンチェルトとショスタコーヴィチの「5番」だった。ヴァイオリン協奏曲の記憶はなんとか蘇ってきたが、交響曲のほうは全く辿ることができない。
ネットでは先だっての日フィルとの演奏が絶賛されている。今度は注意深く聴いたわけだ。しかし、やはり駄目だ。クライマックスや弱音のところで極端にテンポを落とすが、わざとらしいと此方の気持ちが反応してしまう。休止の前後がうまく繋がって行かない、流れに乗れない。
ようは、コバケンや上岡敏之やテミルカーノフと同じように相性が合わないということ。終演後、拍手喝采だったから、感銘を受けた人も多かったのだろう、まぁ、人それぞれだ。これから先、カーチュン・ウォンを積極的に聴くことはないと思う。
春分の日 はじめてのLED照明 ― 2021年03月20日 19:08
今まで住処にLED照明が一つもなかった。
入居時に用意した蛍光灯照明が現役を務めているから。玄関とか風呂の電球は時々切れたものの、電球の値段が比較にならないほど安いので、LED電球を買うほどの勇気が湧かなかった。
しかし、部屋のシーリングライトがどうにも暗くなってきた。時々チカチカもする。生来の引きこもりは、とうぜん屋内での滞在時間が異常に長い。夜の照明に欠陥があるのは極めてマズイ。そこで、はじめてLEDのシーリングライトを贖うことにした。
もちろん最安値を探す。ただし、照明は必需品で長時間使うもの。Maid in China(Maid in PRC表示にも気をつける)など海外生産品は除外し、国内物から選ぶことにした。実質6畳間ながら明るいほうが良い。ワンランク大きい8畳用と定めた。
候補はすぐに絞り込むことができた。ホタルクス(NEC)のLIFELED'S HLDZ08203、適用畳数:~8畳、 定格光束:4299lm、消費電力:35W、機能:防虫、調光(調色なし)。何より日本製の5年保証である。各電気店のネット価格を比較してノジマに決めた。
見かけは小ぶりでシンプル。取付は極めて簡単、10分程度で完了した。昼光色で調光は100%,70%,50%,30%,10%の多段切り替え、普段は70%で固定する。顔色が少し青味かかるのが難点だが、文字はクッキリ見え、チラツキも全くない。常夜灯も5段階に増減可。リモコンを枕元に設置すると、ドア脇の主スイッチとリモコンとを使い分け、動線を短くすることができる。これでますます引きこもりに拍車がかかるだろう。
今日は春分の日、昼と夜の長さがほぼ同じになる春のお彼岸。宮城県沖を震源とする震度5強の地震がまた発生、大きな被害がないことを祈りたい。
2021年フェスタサマーミューザKAWASAKI 速報 ― 2021年03月24日 14:23
今年の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」のプログラムが発表された。
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/commonfiles/pdf/pamph.pdf
期間は7月22日から8月9日の19日間。
オープニングはノット指揮の、フィナーレは原田慶太楼指揮の、いずれも東響。初日7月22日のノットはヴァレーズ「アルカナ」、ラヴェル「ピアノ協奏曲」、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」といったフランス&アメリカもの。最終日8月9日の原田はアダムスの「アブソルート・ジェスト」、吉松隆の「交響曲2番」という面白い選曲。
首都圏以外のオケ参加は、7月25日のオーケストラ・アンサンブル金沢と、8月4日の京都市交響楽団。金沢はモンハスのヴァイオリン・指揮でモーツァルト「ヴァイオリン協奏曲4番」とシューマン「交響曲2番」。京都は広上の指揮で「エロイカ」とブラームスの「二重協奏曲」。
注目は7月28日のN響メンバーによるマーラー「交響曲4番」の室内楽版とJ・シュトラウスⅡのワルツ集。これは昨年の王子ホール ニューイヤー・スペシャルコンサートのほぼ再演。7月31日の高関×東京シティフィルのスメタナ「我が祖国」、これも2015年高関のシティ就任記念公演と同じ演目。8月6日にはバッティストーニ×東フィルのレスピーギ「ベルキス」と「ローマの松」があり、爆演間違いなし。8月7日には下野×日フィルが珍しくも「エグモント」全曲を披露してくれる。
あと、神奈川フィル、東京ニューシティ管弦楽団を含めて首都圏のプロオケと2つの音大、ジャズバンドなどが日替わりで出演するが、どういうわけか新日フィルのみが不参加。
チケット販売は5月に入ってから。