2023/9/2 フリッチュ×神奈川フィル ブラームス「交響曲第2番」2023年09月02日 21:28



神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 みなとみらいシリーズ定期演奏会 第388回

日時:2023年9月2日(土) 14:00開演
会場:横浜みなとみらいホール
指揮:ゲオルク・フリッチュ
共演:ピアノ/阪田 知樹
演目:レーガー/喜劇的序曲Op.120 
   ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第4番ト短調Op.40
   ブラームス/交響曲第2番ニ長調Op.73 


 指揮者のゲオルク・フリッチュは、バーデン・シュターツカペレおよびカールスルーエ・バーデン州立劇場の音楽総監督。チェリストとしてスタートし、その後、指揮者に転向。ハーゲン劇場やキール歌劇場、チロル州立劇場のシェフを歴任してきた旧東独マイセン生れの60歳、歌劇場たたきあげの指揮者である。初来日だという。

 最初のレーガーは珍しい。ラフマニノフと同年生まれだから生誕150年。だけど、ほとんど誰も話題にしない。ヒンデミットやシェーンベルク、プロコフィエフなどがレーガーから影響を受けたという。この「喜劇的序曲」を聴くと、華やかなのにメロディに愛想はなく、ユーモアや皮肉ぽいところはあっても、二度目を聴きたいとは思わない。レーガーが日本で人気がないのも理解できる。

 次のラフマニノフ「ピアノ協奏曲第4番」も珍しい。同じピアノ協奏曲でも「2番」「3番」はポピュラーだけど、「1番」と「4番」は演奏機会が少ない。今年はメモリアルイヤーのおかげで聴くことができる。
 「ピアノ協奏曲第4番」は、ラフマニノフが亡命後に書いた数少ない作品のひとつ。ジャズ風のところがあったり、映画音楽のような味付けがあったりして聴きやすい。ソリストの阪田さんは力強い。野太い音でバリバリ弾く。一瞬マツーエフを思い出したりしていた。アンコールは同じラフマニノフの「楽興の時 第4番」、さらに豪快な演奏で会場は大喜び。協奏曲のときにはタブレットを置き、アンコールは暗譜。

 20分の休憩後、ブラームスの「交響曲第2番」。
 フリッチュは長身痩躯。タクトさばきは器用とはいえないけど、丁寧に指示をだして誠実な指揮ぶり。指揮者より学校の先生のほうが似合いそう。テンポは全体に抑え気味なうえ、提示部の繰返しなどで実際の演奏時間は50分ほどかかった。
 派手な効果を狙わない、古風で地味な音づくり。渋めの温かい音色。人柄が音に出るのだろう。フリッチュが振るほかの独墺音楽を聴いてみたいと思う。

 神奈川フィルのコンマスは、前東響コンマスの水谷晃がゲスト。楽曲がはじまる前は、にこやかに楽団員の緊張をほぐし、演奏中は全身を使ってリードする。楽曲が終わると、笑顔で皆を慰労する。ブラームスにおける弦セクションの美しさは彼の功績でもある。ほんとに優秀なコンマスである。
 木管はOb古山、Fl江川、Cl斎藤、Fg石井など全員が好演、石井さんはこの9月で定年だという。金管はHrの豊田さんがちょっと不安定ながら、Tp林、Tb府川、Tub宮西は絶好調。Timpはゲストで入った東京佼成WOの坂本雄希が目覚ましい働きをみせてくれた。

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