2025/12/20 沼尻竜典×神奈川フィル ベートーヴェン「第九」2025年12月20日 20:20



For Future 巡回公演シリーズ横浜公演
       ベートーヴェン「第九」

日時:2025年12月20日(土) 14:00開演
会場:みなとみらいホール
指揮:沼尻 竜典
共演:トランペット/林 辰則
   オルガン/小島 弥寧子
   ソプラノ/伊藤 晴
   メゾソプラノ/山際 きみ佳
   テノール/チャールズ・キム
   バリトン/青山 貴
   合唱/神奈川ハーモニック・クワイア
演目:J.S.バッハ/18のライプツィヒ・コラール集より
       「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」
   J.S.バッハ/オルガン小曲集より
       「われらキリストを讃えまつらん」
   ヘンデル/組曲ニ長調HWV341より
       Ⅰ.序曲 Ⅲ.エア Ⅳマーチ
   ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調Op.125
       「合唱付き」


 沼竜典尻はデビュー間もない頃に集中して、その後は断続的に、そして神奈川フィルの監督となってからは継続的に聴いているが、彼の「第九」は初めて。
 以前、『ぶらあぼ』のインタビューで監督は、“「昭和の第九」をやりたい。例えば1楽章の最初は宇宙の始まり、そのあとビックバンが来るようでないと物足りない。シュタイン、サヴァリッシュ、マタチッチ、スウィトナーのような、自分が聴いて育ったタイプの音楽を求めている。若い頃は、突っ張って「最新の研究に基づく第九はこうです」というような演奏をしていたこともあった。でも結局、自分の原点に戻ったのだと思う”と語っていた。
 若いころの沼尻の「第九」は知らないが、“シュタイン、サヴァリッシュ、マタチッチ、スウィトナーのような”とは頼もしい。昭和生まれとしては望むところだ。

 なるほど、揺るぎのないずっしりとした堂々たる演奏で、昭和の時代をブラッシュアップした見事な「第九」だった。昭和に比べればオケの性能は圧倒的に向上しており、今は地方オケでさえ当時のN響を凌ぐくらいの実力がある。合唱はプロの精鋭たち。ソリストも一級で、昔の古き良き「第九」を思い出しつつ、一段とパワーアップした精密で重厚なベートーヴェンを堪能することができた。
 神奈川ハーモニック・クワイアは岸本大が率いた各声部10人ずつの計40人、数としては決して多くはないが、プロ歌手だから声量が格段に違う。体格や姿勢、年齢からしてもアマチュアとの差は歴然としている。ソリストのうちバリトンは先だっての「ラインの黄金」でヴォータンを歌った青山貴、テノールはフロー役のチャールズ・キム、女性陣も優秀で4人のバランスが素晴らしく感動的な“合唱”だった。

 前半は小島弥寧子が弾くバッハの2曲のオルガン作品と、そのオルガンを伴奏にしたヘンデルのトランペット組曲の抜粋が演奏された。トランペットは首席の林辰則、相変わらず達者な腕前である。
 15分の休憩をはさんで「第九」。合唱団は最初から待機し、ソリストは第4楽章の演奏中に登場した。もちろん昨年の大植「第九」のように軽く演技をしながらではなく、ごく普通の入りである。コンマスは石田泰尚、弦の編成は14型だった。

 ところで、みなとみらいホールの空調(暖房)は少々きついのではないか。ウインドブレーカーを脱いだだけでは暑くてしかたない。セーターも膝の上に置いてシャツ一枚となって聴いた。体調のせいだろうか。見渡すとコートを着たまま視聴していた人も居たから場所によって違うのかも知れない。それに寒暖の感じ方は人それぞれ、適温かどうかについて本当のところは何ともいえないが、ミューザ川崎のほうが上手く空調管理されているような気がする。