樋口一葉展―――わが詩は人のいのちとなりぬべき2021年11月11日 19:09



 根岸線の石川町駅から歩いた。所要時間は20分か25分。ただ、行程の最後に谷戸坂を登りつめなければならない。「港の見える丘公園」を横目で追いながらにしてもこれはキツイ。
 再び神奈川近代文学館を訪れた。目的は樋口一葉展である。

 まず驚くのは資料が豊富なこと。原稿はもちろん日記、手紙、写真、衣装見本、遺品である笄や髪飾り、住居模型、さらには父親の任官書などもある。年代順に4つに区分して展示してある。一葉の生涯が俯瞰できるほど充実している。
 これはひとえに一葉の妹くにの功績が大きい。妹は姉の遺言に反してまで、日記や草稿、反故紙を含め、姉の書き残したものを大切に保管した。
 くには一葉の2つ下。一葉は独り身のまま24歳で夭折するが、くには10人以上の子をもうけ50歳を越えて生きた。露伴の娘、幸田文は、くにのことを色白で美しい人、浮世の砥石にこすられて、才錐の如く鋭いところがある、と評したという。類まれな才能豊かな姉妹だったのだろう。

 この一葉の特別展は11月28日まで開催されている。月曜日は休館。天気の良い日、「港の見える丘公園」を散策しながら一回りすれば、半日楽しめる。秋の花が公園のそこかしこで咲いている。
 関連してもう一つ。いま台東区立一葉記念館では、開館60年記念と銘打って「たけくらべ」入門、という企画展を12月19日まで開催している。

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