「世界に誇る大北斎展」――斎藤文夫コレクション2021年08月08日 07:39



 おととい、「フェスタサマーミューザ」のついでに、川崎駅直結のタワー・リパーク3階「川崎浮世絵ギャラリー」にて開催中の「北斎展」を覗いてきた。
 
 北斎の“波”が、富岳三十六景の「神奈川沖浪裏」や晩年の「海上の不二」から迫ってくる。富岳三十六景の「凱風快晴(赤富士)」は、初摺りに近いピンクの階調のものと、よく知られる後摺りの濃赤色の両方が並べてある。黒富士と呼ばれる「山下白雨」のデフォルメされた雲、稲妻も目に飛び込んでくる。
 画狂老人卍筆とある肉筆画の「芋と桔梗」は西洋画といってもおかしくない。「新板浮絵忠臣蔵第弐段目」は透視図法を用いている。北斎が西洋画に与えた影響は絶大だが、北斎も西洋画から多くを学んでいる。
 「東海道五十三次」は広重、と思いきや北斎も描いている、広重より30年も先行して。風景というよりは人物に焦点が当たっていて、風俗画のようでもある。「東海道五十三次」には“めんこ”版もある。「鎌倉江ノ嶋大山」という“往来双六”もあった。江戸の子供たちは北斎の絵で遊んでいた。贅沢な!
 「東海道名所一覧」「木曽路名所一覧」という鳥瞰図法で描かれた細密画も興味深い。地図作者としての北斎である。

 この「北斎展」、展示日程が前後期に分かれ、前期は明日9日までと残り少ないが、後期は8月14日から9月12日まで開催される。

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