2024/9/21 秋山和義×東響 ブルックナー「交響曲第4番」 ― 2024年09月22日 10:25
東京交響楽団 第724回 定期演奏会
《秋山和慶指揮者生活60周年記念》
日時:2024年9月21日(土) 18:00開演
会場:サントリーホール
指揮:秋山 和義
共演:ヴァイオリン/竹澤 恭子
演目:ベルク/ヴァイオリン協奏曲
「ある天使の思い出に」
ブルックナー/交響曲第4番 変ホ長調
「ロマンティック」WAB 104
昨日はサルビアホールにて神奈川フィルの定期会員向け感謝イベントがあった。
神奈川フィルは今までも定期会員向けにゲネプロの公開や演奏会後の懇親会などを催しているが、今回は「フィンランデイア」と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のどちらかのリハーサルを見学するという企画。
夕方から東響のコンサートがあるため、前半13時30分からの「フィンランデイア」を聴くことにした。音楽監督の沼尻さんが30分ほどかけてオケ練習をする。駄洒落、例え話を交え、ときどき歌いながら細かなニュアンスを伝える。技術的な指摘も当然あって音楽を仕上げていく。そのあと「フィンランデイア」を通しで演奏。オケが解散したあとは沼尻さんのお喋りと質問対応があって御開きとなった。楽団の人たちに見送られて3時前にイベントは終了した。
鶴見から溜池山王のサントリーホールへ移動し、秋山和義の指揮者デビュー60周年の記念コンサート。
前半は竹澤恭子のヴァイオリンでベルクの協奏曲、以前にも竹澤恭子のベルクを聴いている。無調音楽でありながらどこか妖艶でロマンチック、バッハのコラールや民謡の引用があるせいか親しみやすい。竹澤さんヴァイオリンは美しく深度のある表現、この曲が鎮魂歌でもあることを思い出させてくれた。秋山×東響は終始的確で好感度の高い伴奏で支えた。
秋山和義が選んだメインの曲はブルックナーの「交響曲第4番」、秋山翁のブルックナーは初めて聴く。テンポ、フレージング、楽器のバランスなど全くもって正攻法、抜群の安定感、恣意的なところや小細工などなく悠然と音楽が流れていく。直近で聴いた「第4番」はフルシャ×都響だが、このときの鋼のような強靭な演奏に比べると木質のような柔軟な肌ざわり。健全で健康的なブルックナーだった。ブルックナー演奏で記憶に残る指揮者はなぜか奇人変人が多いけど、秋山翁は偉大なる常識人、貴重で敬愛すべき存在だ。
秋山和義は弱冠23歳で東響の指揮者に就任し60周年を迎えた。インタビューでは「朝比奈隆先生は93まで振っていらしたから、私も70周年が迎えられるように…まずはそこを目指したいですね」と、さらに次の10年を見据えている。聴き手としても演奏会を一緒に、あと10年聴くことが出来ればこんな幸せなことはない。