シティ・オブ・ジョイ(歓喜の街)2022年07月06日 19:02



『シティ・オブ・ジョイ』
原題:City of Joy
製作:1992年 フランス・イギリス合作
監督:ローランド・ジョフィ
脚本:マーク・メドフ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:パトリック・スウェイジ、ポーリーン・コリンズ、
   オム・プリ


 志半ばで亡くなった『ゴースト ニューヨークの幻』のパトリック・スウェイジの生誕70周年と、製作30周年に合わせリマスター版がリバイバル上映されている。当時、パトリック・スウェイジは脚本に惚れ込み、ノーギャラで出演したという。
 原作はドミニク・ラピエールの『歓喜の街カルカッタ』(長谷泰 訳 河出書房新社 1987年)。ラピエールは『パリは燃えているか?』の作者でもある。監督は『キリング・フィールド』のローランド・ジョフィ。音楽は『荒野の用心棒』『ニュー・シネマ・パラダイス』などのエンニオ・モリコーネ。

 今年の2月に劇場公開がはじまったので、この時期、2番館か3番館での上映ということになる。いい映画だったが、観客は5、6人。人気はいまひとつか、それとも、公開終了間近だから致し方ないか。

 アメリカ人医師マックス(パトリック・スウェイジ)は、患者の少女を救えなかった無力感から、救いを求めインドのカルカッタへ逃げる。彼は“歓喜の街(シティ・オブ・ジョイ)”と呼ばれるスラム街で、田舎から出て来た車引きのハザリ(オム・プリ)一家や、診療所を運営するジョアン(ポーリーン・コリンズ)たちと出会う。街の支配者から搾取されながらも懸命に生きようとするハザリたち。マックスは彼等と共に闘いながら自分自身を取り戻して行く。

 凄まじい貧困のなかで逞しい生と人間の尊厳が露わになる。主人公のちっぽけな自己嫌悪や苦悩が、カルカッタの歓喜の街とそこに住む人々によって相対化される。悲惨と絶望、混沌と混乱ばかりに見える歓喜の街は、悪と善が同居し、原初の生命力が充満している。

コメント

トラックバック